渋野の新しい“相棒” 古賀雄二 「目配り、気配りが一番大事」

2021/02/03 [13:00] 公開

通算9勝を挙げているプロキャディーの古賀。3月には渋野日向子のパートナーを務める=諫早市、RYOゴルフガーデン

 プロゴルフの試合で選手を支えるキャディー。コース攻略を手助けし、ときにプレーヤーを鼓舞しながら、ともに勝利を目指す。長崎県の諫早を拠点に全国を飛び回る古賀雄二は、そんなプロキャディーの一人。ツアー帯同で通算9勝を挙げ、この春からは2年前の全英女子オープンを制した渋野日向子のバッグをかつぐ。「しっかり準備して、好発進に貢献したい」
 父の影響で10歳からクラブを握り、長崎日大高で腕を磨いた。プロを目指して東北福祉大に進んだが「周りがすごすぎて」プロテスト受験を断念。卒業後は帰郷し、愛野CCでスタッフとして働きながら、アマの大会に出場していた。
 転機は2008年。シード権を取った高校、大学の先輩の藤島豊和から「専属キャディーに」と誘われた。上の舞台への憧れもあり、依頼を承諾。「キャディー兼運転手兼マネジャー。とにかく大変だった」が、苦労は早速、実を結ぶ。
 同年9月のフジサンケイクラシック。2人の大学の先輩でもある岩田寛とのプレーオフの末、ツアー初優勝を飾った。藤島のウイニングパットが入った瞬間、思わず雄たけびを上げた。
 藤島のパートナーを2年間務めた後、男女問わずさまざまな有名プロについた。16年からはテレサ・ルー(台湾)に帯同。約2年半で6勝を挙げるなどキャリアを積んできた。
 コースの特徴、グリーンの傾斜を頭にたたき込んでからラウンドに臨む。ちょっとした助言で流れが変わり、選手のプレーが見違えることも。その分、言葉遣いや声掛けのタイミングには気を使う。「選手の調子がいいときは、誰がついても勝てる。落ちてきたときこそ僕らの出番。選手に気持ち良くプレーしてもらってこそ。目配り、気配りが一番大事」と言い切る。
 昨年11月、専属だったキム・ハヌル(韓国)がコロナ禍の影響で来日できなかったとき、たまたまキャディーを探していた渋野から依頼があった。2戦を担当して、うち1戦は5位。この流れで今年3月からパートナーにつく。「あいさつなど礼儀正しく、飾らない人柄はテレビで見たまま」と印象を語る。
 トーナメントの最終日。優勝争いをしながら、選手とともに18番への花道を上がってくると、ギャラリーの歓声と拍手に包まれる。「身震いするほどの感動」。幸せな瞬間だ。目標は海外のメジャー大会でそれを体感すること。そのためにも、今は目の前の一戦一戦に全力を尽くす。