口も耳も要る

2021/01/18 [10:04] 公開

 今はどうだろうか。首都圏に再び緊急事態宣言が出されると、昼間から飲食店で飲む人が増えたという。街頭インタビューに店主の1人が答えていた。「いつもは来ない若い人たちが来て、大騒ぎだよ」▲飲食店の閉店が早まったから、昼のうちに…ということらしい。菅義偉首相は「午後8時以降の外出自粛」を呼び掛けたが、それが「8時までなら飲み歩いてもいいんでしょ」と取られてしまった▲昼夜を問わず、マスクなし、大声での飲食が感染を広げやすいのは明らかで、首相は最近、「不要不急の外出は日中も控えて」と言うようになった▲「昼飲みならばいい」なんて道理はあるまい。そう思う一方で、政治が発するメッセージの弱さも感じる。国民に届いていない、その表れではないか。コロナへの慣れがあり、コロナ疲れもあって、人の動きが止まらない▲県は、感染拡大する長崎市に、独自の緊急事態宣言を出した。市内の幅広い施設、店舗で営業時間の短縮を要請し、県内の飲食店などにも営業時間を午後8時までにするよう求めている▲店に支給される協力金に不平等感などがあれば、声を上げたい。政治、行政はそうした声も聞きながら、今が肝心だと、強いメッセージを送り続けたい。声を発し、声を聞く。難局を乗り切るのに口と耳が要る。(徹)