石木ダム付け替え道路 座り込み区間工期延長せず 県、いったん打ち切り

2020/12/22 [11:00] 公開

 長崎県と佐世保市が東彼川棚町に計画する石木ダム建設事業で、県は21日、県道付け替え道路工事のうち、反対住民らが座り込みを続ける区間の工期を25日から延長せず、施工業者との契約をいったん打ち切って精算する方針を明らかにした。県石木ダム建設事務所は「安全に配慮しながら工期内に施工するのは難しいと判断した」と説明している。
 座り込み場所付近の約140メートルの区間は盛り土工事を進められず、これまで工期を3度延長。最新の工期が25日に迫っていた。盛り土工事について、同事務所は今後、新たに発注し直すか、他区間を施工中の業者に追加で工事してもらうか検討するという。
 県は6月、工事に支障があるとして、座り込み場所周辺に置かれたテーブルなどの私物撤去を求めたが住民らが応じなかったため、工期を8月末から10月末に2度目の延長。10月には住民の帰宅後に盛り土工事を試みたが、戻った住民に阻止され再び2カ月延長した。今月11日には「安全に工事を進める目的」で現場入り口を防護柵でふさぎ、私物がない部分の工事を進めようとしたが、柵を突破した住民が重機近くに座り込んだため中止した。
 同事務所は私物の撤去について「自主的に動かしてもらえるよう今後もお願いしていく」としている。
 県はまた、15日に本体工事として初めて入札を実施したダム本体両端斜面の掘削工事について、21日付で佐世保市内の落札業者と契約を結んだと明らかにした。工期は24日から来年3月26日まで。施工計画の協議など1カ月程度準備を進めた後、着工する見通し。