佐世保・世知原中2年 株式会社「起業」 地元PR 商品制作 授業の一環 株主は住民

2020/11/02 [23:35] 公開

自分たちが手掛けた商品を手にする中川さん(左)と中村さん=佐世保市立世知原中

 長崎県佐世保市世知原町の市立世知原中(栗林俊明校長、98人)の2年生全39人が、授業の一環で世知原町をPRする株式会社を設立し、クリアファイルとカレンダーを制作。10月29日に開かれた「世知原おくんち」で販売すると、多くの住民が買い求めた。
 本年度、県教委の「ふるさとを活性化するキャリア教育充実事業」の指定を受け、総合的な学習の時間を使って実施。同校や雲仙市立小浜中など計8校が同様の取り組みをしている。
 地元のことを研究して理解を深めた後、6月23日に「起業」。専門家から会社経営に関するレクチャーを受けるなどして、社長、副社長を決め、営業部、商品開発部、経理部、広報部に分かれて活動してきた。社名はフランス語で「大きい信頼」を意味する「グランドコンフィアンス」。
 9月、町内で事業説明会を開催し、企業理念や事業内容などを紹介すると、賛同した住民から131株(1株500円)の出資が寄せられ、最終的に484株を発行した。これを元手にクリアファイルとカレンダーを制作。商品には生徒らが撮影した地域の写真を使用し、世知原の魅力を発信する。
 新型コロナウイルスの影響で生徒たちの挑戦は、予定通りに進まないことも多々あったが、社長の中川大地さん(13)は「皆で協力し合えたので、絆が深まった」と前向きに話す。
 販売会には大勢の住民が詰め掛け、制作したカレンダー全300枚、クリアファイル全500枚は2時間で完売。商品開発部長を務める中村直承さん(13)は「自信を持って提供できる商品ができた。これで少しでも世知原の魅力が伝われば」と笑顔。商品を購入した世知原町の高原喜代美さん(40)は「すごくいい出来で驚いた」と話した。
 今後、12月の株主総会に向け、これまでの取り組みを総括。収益の半分は株主に配当し、残りは地域貢献活動などに使う予定。社長の中川さんは「株主の方に喜んでもらえる報告ができるよう、最後までがんばりたい」と決意を述べた。