長崎・原爆死没者名簿 3500人分、記入始まる

2020/06/02 [14:00] 公開

原爆死没者の冥福を祈りながら筆を進める森田さん=長崎市職員会館

 長崎市は1日、「長崎原爆の日」の8月9日に開く平和祈念式典で新たに奉安する原爆死没者名簿の筆耕作業を桜町の市職員会館で開始した。昨年8月1日から今年7月31日までに亡くなったり、新たに判明したりした被爆者ら約3500人分の氏名と享年、命日を名簿に記入する。作業は8月3日までに終える予定。
 書道講師で被爆2世の森田孝子さん(72)=同市葉山2丁目=が19年連続で筆耕者を務める。森田さんは新型コロナウイルス禍を受け「何げない平和がどれだけ大切か考えないといけない。亡くなった方の冥福を祈りながら筆耕を続ける」と語り、心を込めて筆を進めた。1日に約100人分を書き込むという。
 原爆死没者名簿は、原爆犠牲者の生きていた証しを残し、恒久平和を祈るために1968年から毎年作成している。2018年からは、被爆者健康手帳の所持者に加え、国が定める被爆地域外で原爆に遭った「被爆体験者」なども対象に加えた。
 昨年の式典までに広島原爆の被爆者68人分を含む累計18万2669人分を奉安した。身元不明の犠牲者のために用意された白紙の1冊を含めた計187冊の名簿は、長崎市の国立長崎原爆死没者追悼平和祈念館に納められている。