100ミリシーベルト未満でもリスク 長崎 小児期被ばくで論文報告

2020/03/24 [09:55] 公開

 長崎市原子爆弾放射線影響研究会(会長・朝長万左男日赤長崎原爆病院名誉院長、6人)は23日、同市で会合を開き、小児期の放射線被ばくに関し、100ミリシーベルト未満の低線量でも白血病のリスクが高まるとする海外の論文が報告された。
 一般に100ミリシーベルト以上の被ばく線量で発がんリスクが高まるとされる。朝長氏は「信頼できる論文だ。低線量でもリスクが上がるという報告は近年増えており、決着をつけないといけない」と述べ、研究の発展を期待した。委員からは「かなり古いデータも含まれている」として慎重な受け止めが必要との意見も出た。
 論文は、1910年代から2000年代にかけての複数の研究を解析し、2018年に発表された。
 それによると、小児期に米欧で診断や治療のためエックス線を受けた人や、日本人の原爆被爆者など約26万人の中から、急性骨髄性白血病や急性リンパ芽球性白血病などの発症者を調査した。100ミリシーベルト未満、50ミリシーベルト未満、20ミリシーベルト未満でも、最も被ばく線量が少ない人たちと比べ、発症リスクは病気によって数倍から数十倍高まっていた。
 研究会は被爆地域の拡大是正などに向けて新たな知見を得ようと、長崎市が2013年に設置した。会合は11回目。