座ってできる歩行訓練器 作業療法士などと共同開発 長崎のマテックスが商品化

2019/11/16 [09:59] 公開

歩行訓練器「ファン&ファン」を開発した(左から)北川さん、三田村社長、松崎さん=長崎市、東長崎商工会

 保温や保冷、耐火工事の設計施工などを手掛けるマテックス(長崎市)が、高齢者が座ってリハビリできる歩行訓練器「ファン&ファン」を開発、商品化した。長崎友愛病院(同市)の作業療法士、松崎博さん(65)や県立長崎工業高インテリア科教諭の北川友也さん(55)、東長崎商工会などとの共同開発で、同校生徒がデザインを担当。県農商工連携ファンドを活用して対馬産ヒノキを材料に使った。「やってもらうリハビリから、自分でするリハビリへ」をコンセプトにしており、家庭などでも手軽に利用できるのが特長だ。
 三田村信義社長と一緒に同社を設立した元取締役の男性が脳梗塞で倒れたことが開発のきっかけ。リハビリに通っていた同病院の松崎さんから相談を受け、2013年から開発を始めた。
 訓練器は重さ約5キロ。パンダの形をしたかわいい外観は高校生がデザインした。パンダの腕の部分がペダルで、両足を乗せて交互に上下させる仕組み。歩く動作を再現し、足を上げる際に必要な腸腰筋などを強化できるという。踏み込む時の負荷の強度は、組み込まれた輪ゴムの数を増減させることで調節が可能。
 15年に特許取得後、商工会の支援を受けて同ファンドの助成事業に応募。今年1月に交付が決定し、商品化が進んだ。生徒が試作品20台を作り、病院などで試してもらった。松崎さんによると「足が軽くなった」など利用者の評判は上々という。
 松崎さんは「大手はロボット介助など、外部環境を変えようとしているが、私たちはもう一度、その人自身を元気にしたいという発想」と説明。今回の訓練器が福祉事業参入第1号となる同社は「楽しく健康になるお手伝いをして地域に貢献したい」としている。
 1台7万7千円(税込み)。年内に30台の先行予約を受け付ける。同社(電095.838.6440)。

利用法を実演する北川さん(左)と松崎さん