医療と福祉の存続へ…空き時間活用の「助っ人」と施設をマッチング 長崎・西海市で県内初導入

長崎新聞 2026/07/03 [12:18] 公開

スケッターの登録から業務までの流れ

スケッターの登録から業務までの流れ

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少子高齢化などが進む中、地域の医療や福祉を守ろうと、長崎県西海市内の関係機関でつくる「さいかいウェルビーイングネットワーク(SWN)協議会」が県内初となる人材マッチングサービスの導入など、地域連携で模索を続けている。地域のニーズに応じて試行的に取り組んだ四つの事業から見えてきた成果と課題を踏まえ、優先度を考慮しながら具体化していく予定だ。関係者は「地域の未来は決して暗いものではない」と強調する。

 同市の人口は5町が合併して誕生した2005年4月当時、約3万5千人だったが、現在は約2万4千人にまで減少。65歳以上の割合は29・3%から41・1%に上昇し、県平均以上に高齢化が進んでいる。

 一方、医療や介護、福祉の現場では中山間地や離島を含む地域特有の課題が顕在化。人材不足や多重負担、情報通信技術(ICT)導入の遅れ、事業継承などの問題への対応が求められている。

■4事業
 こうした中、市社会福祉協議会や医療機関、社会福祉法人など市内10事業者でSWNが発足。県の事業者グループ職場環境改善協働実施推進補助金事業の採択を受け、昨年9月から7カ月間、▽人材確保▽情報プラットホームの構築▽地域移動支援モデルの構築▽ブランディング-の4事業に取り組んだ。各事業には10事業所から座長を選び、全国の有識者から助言を受けながら企画提言書を作成して臨んだ。

 このうち、「人材確保」では、空き時間を活用したい人を「助っ人」をもじった有償ボランティア「スケッター」として登録し、医療・福祉施設とを結びつけるマッチングシステムを県内初導入した。食事サポートや清掃など、身体介護を伴わない手伝いに施設側から謝礼が支払われ、無資格・未経験者でも登録が可能だ。

 6月24日時点でスケッター登録者は75人、マッチングは859件。登録者の75%が未経験で、人材掘り起こしに一定の成果が出ている。SWN共同代表で社会福祉法人「ふるさと」の北島淳朗理事長は「スケッター事業を通して、一定の認知が広がり、福祉に関わりたい潜在的な人材がいることが分かった」と話す。

■可能性
 SWNの願いや狙いを発信する「ブランディング」では、ハートをモチーフとしたロゴデザインや動画を制作し、共同ホームページ(HP)を立ち上げた。HPで事業計画やガイドラインなどを分かりやすく紹介。手軽に配布でき、普段から身に着けられるアイテムとして広報用ステッカーも作った。

 医療、介護、福祉の連携を強化する「情報プラットホームの構築」では、情報共有システムの可能性を探り、課題を洗い出した。公共交通機関の廃止、減便が続く中、買い物や通院などに苦慮する高齢者を支える「地域移動支援モデルの構築」では、住民参加のワークショップを開き、地区ごとの「ニーズ」「資源」「課題」を整理。安心安全な移動支援に向け策定したガイドラインを基に、今後は試行から制度を改善していく。

 全国で65歳以上の高齢者数がピークを迎え、現役世代が減少し、深刻な人材不足などで医療・介護サービスの提供が懸念される「2040年問題」が迫る中、SWNの取り組みは新たな挑戦として注目されそうだ。北島理事長は「医療、福祉において地域の未来は決して暗いものではない」と強調。SWN共同代表で市社協の宮﨑正宏会長は「連携、協働して市民が安心して住むことができる、地域で支えることができる福祉の第一歩となるように続けていきたい」と話す。