星空の下 にぎやかに 五島で「陣屋石蔵太鼓祭」

2019/10/06 [00:10] 公開

ライトや炎に照らされた「富江陣屋の石蔵」の前で、和太鼓を演奏する神田さん(右から2人目)ら富江バラモン会のメンバー=五島市富江町

 長崎県五島市富江町を拠点に30年以上活動する和太鼓グループ「富江バラモン会」が4日夜、旧富江藩が貯蔵庫として利用した遺構「富江陣屋の石蔵」で、「陣屋石蔵太鼓祭」を開催した。たいまつの炎やライトに石壁が照らし出された幻想的な空間に、迫力のある太鼓の音が鳴り響いた。
 石蔵は350年以上前に築かれ、アワや麦などの穀物が保存されていた。大きさは幅25メートル、高さ4メートル、奥行き9メートルほど。厚さ1メートル余りの石壁には、精巧に切り出した富江産玄武岩が使われ、隙間なく積み上げられている。
 太鼓祭は、2017年2月に東京から富江町に移住した同会メンバーの神田伸正さん(38)=浜松市出身=が発案した。石蔵は移住後に初めて訪れて以来、精緻な石組みの美しさに魅せられた「お気に入りの場所」。多くの人に魅力を知ってもらうため、照明を当てた石蔵の前で太鼓を演奏する演出を考えたという。
 当日は星空が広がり、近くに住む子どもからお年寄りまで100人以上が詰め掛けた。同会メンバーが腹の底に響く重厚な和太鼓の音を響かせると、観客らが盛んに拍手を送った。他にもバンド演奏やギターの弾き語りなどがあった。
 神田さんは「富江でも石蔵のことをよく知らない人は多い。太鼓祭が、この場所をさらに活用するきっかけになれば」と期待した。