月1回の一人暮らし高齢者向け食事会 孤立解消の場に 「ふれあい交流会」35年

2019/10/03 [12:17] 公開

食事の前に全員で童謡を歌う参加者=長崎市、東山手洋風住宅群

 一人暮らしの高齢者らが集い、地域住民らがボランティアで作る食事などを和やかに囲む交流会が長崎市北大浦地区で35年間続いている。同市社会福祉協議会北大浦支部が毎月開催している「独居老人ふれあい食事交流会」。「家では1人やけど、ここは寂しくない」-。お年寄りたちの談笑が響く空間は、高齢者の孤立解消、見守りの場にもなっている。
 「あら、久々に顔ば見たね」「おかげさまで元気でしたよ。今日は本当に暑かですね」-。
 季節外れの真夏日となった9月28日正午。東山手町の東山手洋風住宅群の1棟から、にぎやかな話し声が聞こえてきた。会場には、北大浦地区の一人暮らしの高齢者約20人が集まった。
 毎月(1、8月を除く)第4土曜日に開き、食事のほか、合唱などのレクリエーションを通じて、お年寄りらが楽しいひとときを過ごす。食事をボランティアで準備するのは地域の民生委員や住民ら。ヘルシーな献立を考え、当日の早朝から調理に当たる。
 同地区で最初の「ふれあい食事交流会」が開かれたのは1984年。開催実績は300回を超えた。市社協によると、一人暮らしの高齢者を対象にした「ふれあい食事サービス事業」は市内29カ所(2017年度現在)で取り組まれているが、北大浦支部の活動は最も長いという。
 第1回から準備を手伝っているという五十川節子さん(77)は「普段会えない人とも顔を合わせられるのはうれしい」。堺屋紀美子さん(79)は「準備する側にとっても大事な機会。最近見ないと思っていた人と会うと安心する」と話す。
 同日は童謡をみんなで歌い、大浦署員による防犯講話があった後、おしゃべりしながら食事を楽しんだ。参加した吉里まゆみさん(78)は「家にいても誰とも話さない。テレビを見て終わりという日もある。できる限りは参加するつもり」。田中濟子(なすこ)さん(87)は「ここの時間は楽しいけん、あっという間に過ぎるとよ」と笑顔で話した。
 一方で、課題もある。地元自治会関係者らは「お世話する側も高齢化が進み、食事を準備することの負担は大きい。開催場所も坂の上にあり、参加者側の体を考えると場所の変更も考えている」と明かした上で、「若い世代を巻き込みながら活動を継続、発展させるアイデアを何とか出していきたい」と話す。
 交流会には長崎あじさい病院(大浦町)の看護師も出席し、血圧測定なども受けられる。参加費100円。問い合わせは市社協北大浦支部事務局長の野村孝一さん(電090.3601.6668)。