十八、親和銀 合併まで1年 進む運営の一体化、両行トップ「準備は順調」

2019/10/01 [11:00] 公開

打ち合わせをする十八銀行員(右側)と親和銀行員=長崎市、十八銀本店

 十八銀行(長崎市)と親和銀行(佐世保市)の合併まで1日で、あと1年。ふくおかフィナンシャルグループ(FFG、福岡市)と十八の経営統合から半年の間に、先行して運営一体化が進む部門もある。両行トップは「準備は順調」と強調する。
 長崎市銅座町の十八銀本店6階のソリューション部門には、7月から親和の22人が勤務している。十八の担当者は17人。まだ合併前で、個別の企業情報を扱うため席を分けているが、真ん中を仕切るテーブルでは、緑色の名札と青色の名札を付けた行員が随時打ち合わせをしている。
 同部門は大型や専門性の高い融資、事業承継などを担う。これまで十八は支店のサポートに重点を置いてきたが、顧客回りもこなし迅速に対応する“FFGスタイル”を親和を通じて取り入れつつある。
 親和の吉澤俊介頭取は「情報量が2行分に増え、提供できるサービスも広がる。顧客の信頼を得て『相談すれば解決する、ためになる』と思ってもらえれば、融資や預金につながる」と語る。
 システムや事務もFFGに合わせる。十八の森拓二郎頭取は「計画通りに進んでいるが、失敗は許されない」と気を引き締める。システム統合には福岡からの応援を含め計100人を投じ、事務統合は10月から親和店舗での行員研修を本格化させる。一方、窓口の手続きでタブレット端末を使う十八独自のシステムは、親和が来年取り入れる。
 ローンの営業拠点は7月に集約し、県内4カ所で両行員が同居。顧客が両行の商品を選ぶことができ、合算の売り上げは前年同期を超えた。初の共同企画「長崎全力応援融資」は約100億円の申し込みがあり、「大口はなくても、多くの方に利用されている」(吉澤頭取)という。
 FFGは経営統合した4月から、人手不足の中小企業に対するデジタル化サポートを本県で先行して始めた。十八8人、親和11人が専属となり、既にクラウドシステム導入など実績も上げつつある。
 こうして統合効果を前倒しで顧客に実感させようとさまざまな手を打つ中、県内中小企業向け融資シェアに大きな変化はないもようだ。
 他行への借り換えサポート(債権譲渡)によって両行合算で約75%から約65%に下がり、「回復は簡単ではない」(両頭取)。逆に言えば、ライバル行もそれ以上切り崩せていない。一方、西日本フィナンシャルホールディングス(福岡市)の谷川浩道社長は30日の定例記者懇談会で「地道な営業努力がじわじわと実を結びつつある」との見方を示した。