五島市がドローン物流実証 25日から福江島―黄島、赤島 注文から受け取りまで

2019/09/18 [00:04] 公開

 長崎県五島市が25日から10日間、商店街や病院がある福江島と、二次離島の黄島、赤島との間の約8~9キロを、小型無人機ドローンで生活物資などを相互に運ぶ無人物流実証事業に取り組む。今月上旬には小売業者や医療機関が加盟する「市無人物流実装推進協議会」も発足。福江地区の店舗と連携し、弁当などの発注から配達、受け取りまで、より実用化に近い形で検証する。
 市が新産業や雇用の創出を目指し、昨年度から5カ年計画で取り組む「ドローンi-Landプロジェクト」の一環。今年3月には物流事業の第1弾として、奈留島-前島間の約500メートルで食料品を運んだ。今回は、ANAホールディングス(東京)に委託する。
 黄島と赤島は福江島の南東に位置し、市によると人口は黄島25世帯35人、赤島10世帯13人。黄島は商店が1軒あるが赤島にはなく、島民は福江島と両島とを1日2往復する定期船で食料などを取り寄せたり、買いに出掛けたりしている。
 実証事業で福江島側の発着点となるのは、島南東部にある塩津港。ドローンは事前に決められたルートを離陸から着陸まで全て自動で飛行し、昼と夕方の1日2回、塩津-黄島(片道9キロ)と塩津-赤島(同7.7キロ)間を往復する。黄島と赤島の島民は、スーパーや菓子店の商品を掲載したカタログから好きな物を選んで電話で注文。ドローンが両島の発着地点まで空輸する。将来的には、医療用検体や医薬品などを送ることも想定している。
 課題もある。市は店舗や医療機関が集中する市中心部から直接、黄島や赤島にドローンを飛ばしたい考えだが、飛行距離が20キロ弱と長くなるため、現時点では機体の性能面などから不可能。今回は店舗から塩津港までは陸路で輸送する。二次離島は高齢者が多く、注文や決済の電子化への対応が難しいことも予想されるため、実態に合わせた仕組みづくりも求められる。
 来年度中には、注文から支払いまで一連のサービスを提供する形で実用化を目指す。市地域おこし協力隊として事業を進める浜本翔さん(37)は「機体の性能はどんどん向上しており、今のうちから市内の商店や医療機関の協力を得て、実用化に向けた体制を整えておきたい」と話す。