朝鮮通信使船来航を前に対馬市が韓国2機関と協約調印

2019/07/05 [00:57] 公開

韓国伝統の「海神祭」で、祭壇を前に航海の安全を祈った対馬市の桐谷副市長=釜山市、朝鮮通信使歴史館

 韓国で復元された朝鮮通信使船の対馬初来航を前に、長崎県対馬市の関係者が1日、釜山市を訪れ韓国側2機関と相互協力をする「三者協約書」に調印。朝鮮通信使船の航海安全を祈る伝統の「海神祭」にも参加した。

 朝鮮通信使船は、朝鮮王朝が江戸時代の日本に外交使節団「朝鮮通信使」を派遣した際に使った船を模し、韓国の「国立海洋文化財研究所」が昨年築造した。釜山市の外郭団体「釜山文化財団」が「対馬市民と共に、朝鮮通信使の誠信交隣(せいしんこうりん)、平和共存の意義を感じよう」と対馬来航を企画。対馬厳原港まつり開幕前日の8月2日に同港へ入る予定になっている。

 調印式は釜山市の朝鮮通信使歴史館であり、同研究所の李貴永(イグィヨン)所長と同財団の姜東秀(カンドンス)代表理事が、通信使船を活用した相互交流などを盛り込んだ協約書に署名。対馬市の桐谷雅宣副市長は「歴史再現の第一歩で、朝鮮通信使の意義をさらに深める絶好の機会」とする比田勝尚喜市長のメッセージを代読。韓国側も「当時の海路再現を始める第一歩」と歓迎した。

 朝鮮通信使が釜山出発前に執り行ったとされる儒教式の「海神祭」もあり、桐谷副市長はマッコリや果物などが供えられた祭壇で航海の安全を祈った。

 朝鮮通信使は、対馬市が事務局の「朝鮮通信使縁地連絡協議会」と、「釜山文化財団」が2016年、「ユネスコ世界の記憶」(世界記憶遺産)に日韓の関連資料333点を共同申請。17年に登録を果たした。

朝鮮通信使船の復元船対馬来航に向け、三者協約に調印した対馬と韓国の関係者=釜山市、朝鮮通信使歴史館