「事業継続が妥当」 石木ダム利水再評価検討委、佐世保市に答申 長崎

2025/02/22 [11:00] 公開

「石木ダム事業継続が妥当」とする答申書を中島水道局長に手渡す横山委員長(右)=佐世保市役所

「石木ダム事業継続が妥当」とする答申書を中島水道局長に手渡す横山委員長(右)=佐世保市役所

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長崎県と佐世保市が東彼川棚町に計画する石木ダム建設を巡り、市の利水事業を再評価する最終会合が21日、市役所であった。審議した第三者の市上下水道事業経営検討委員会は「事業の継続が妥当」との答申書をまとめ、中島勝利水道局長に提出した。ダム建設の工期延長を繰り返す現状に「事業主体のやる気と覚悟が欠如している」と県に対し厳しく指摘する内容で、具体的な行動で示すよう求めた。
 市は答申を踏まえ「事業継続」の再評価書を作成し、3月中に国に提出する。
 会合では、これまで2回の審議を踏まえた答申案を協議。答申書は日量4万トンの水源確保の手段として「石木ダム案以外に現実的に実行可能な方策は認められない」とし「非常に高い費用対効果がある」と事業継続の妥当性を強調した。
 「水源確保の遅延は行政の諸施策を不確実にし、市民や都市全体の不利益を重ねている」とも指摘。約50年にわたって完成しない石木ダムを取り巻く現状に「何ら進展がないまま同じような議論を重ねることは認めがたい」と苦言を記した。その上で、現実に即した完成のめどについて、明確な期限を定め、進展がない場合は県の責任で別の水源を確保することを求めた。
 素案を作成した検討委員長の横山均・県立大教授はこうした文言を盛り込んだことに「げき文に近い内容にした」と表現した。
 中島水道局長は終了後、ダム建設反対派が「水需要予測などが過大だ」と指摘していることに対し「恣意(しい)的に何かの数字を動かしているわけではない。国土交通省が示すガイドラインに基づいて適切に評価をしている」と述べ、批判には当たらないとの認識を示した。