未利用魚「アイゴ」を干物に 西海の地域商社が商品化 「漁業者の所得向上へ」

2019/06/21 [10:25] 公開

アイゴ(バリ)の干物を販売する浪方さん(左)ら=西海市西海町、直売所よかところ

 一般的に市場に流通せず、海藻を食べることから磯焼けの一因とされる白身魚アイゴ(バリ)。長崎県西海市の地域商社「西海クリエイティブカンパニー」は、地元漁師の定置網にかかったアイゴを、水産加工業者と連携し干物にした。地域商社の浪方勇希社長(30)は「捨てられていた魚も見方を変えれば宝。漁業者の所得向上につなげたい」と話す。

 市内の漁業、磯崎直純さん(33)は父親の正純さん(70)と大島、崎戸沖で定置網漁を営む。アイゴはひれに毒があり、刺さると腫れる。鮮度が落ちると独特の臭みが出るため、市場には流通しない「未利用魚」だ。

 しかし、新鮮なうちに内臓や頭を取り除くなど処理すれば、刺し身やフライに向く。直純さんは「磯焼けには漁業者も困っている。商品化が被害防止にも役立てば」と話す。

 磯崎さん親子が処理したアイゴは長崎市江戸町の山道水産が加工。塩干しや、みそ漬けなどに仕上げた。山道英樹社長(43)によるとアイゴの干物は珍しく「味はいいので、薫製など他の加工品にも挑戦したい」と話す。

 干物は、幅広い世代に親しんでもらおうと「BARI KUN」と名付け今月上旬、西海市内のイベントで販売した。浪方社長は「干物は和食、年配者が食べるといった印象が強いが、若い世代にも味わってほしい」と、フライパンで軽く焼き、パスタやサンドイッチなどの具材としての利用も提案。「アイゴの以外の未利用魚も商品化したい」と意気込む。

 「BARI KUN」は山道水産で販売。300円。近く、西海市内の直売所でも販売する予定。

一般的に市場に流通しないアイゴ(バリ)(西海クリエイティブカンパニー提供)