「イナッショ祭り」シンポに220人 キリシタン遺産でまちづくり

2019/05/26 [10:24] 公開

世界遺産を活用した地域振興について考えたパネルディスカッション=新上五島町、鯨賓館ホール

 世界文化遺産「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」を活用した地域振興を考える「イナッショ祭り」(実行委主催)が25日、新上五島町で始まった。
 「イナッショ」は日本にキリスト教を伝えた修道会、イエズス会の創始者、イグナチオ・ロヨラのこと。禁教期に五島地区などの潜伏キリシタンから「イナッショさま」と呼ばれ、信仰されていた。
 大曽教会(青方郷)で先人たちの信仰に感謝するミサを実施し、鯨賓館ホール(有川郷)でシンポジウムを開催。約220人が訪れた。イエズス会日本管区長のデ・ルカ・レンゾ神父が基調講演し、五島市の奈留島で発見された1850年代の古文書にイナッショが当て字で記されていることなどを紹介した。
 「まちづくり」をテーマにしたパネルディスカッションもあり、5人が登壇した。岐阜県白川村職員の松本継太氏は、世界遺産の白川郷の合掌造り集落について小中学生が学ぶカリキュラムがあると紹介し「自分の言葉で古里を説明できる人間を育てたい」と述べた。新上五島町で旅館業を営む永田孝子氏は上五島だけでも29の教会があり「それぞれ趣に違いがある。日帰り客も多いが、観光神楽など夜の催しも合わせて楽しんでもらいたい」と語った。
 26日は、奈留島で2000年に開かれた学会で世界文化遺産登録が提唱されたことを記念し、奈留港ターミナル前に設けられた碑を除幕する。