被爆者の思い受け止め 語り継ぐ 長崎「交流証言者」坂本さん、廣瀬さん初講話

2019/03/22 [00:03] 公開

 被爆者の体験を語り継ぐ長崎市の「交流証言者」事業で、長崎大教育学部2年の坂本薫さん(20)と同市錦1丁目の学童保育指導員、廣瀬美由紀さん(58)が21日、同市平野町の長崎原爆資料館で初めて講話した。

 市は2014年度に被爆者の親族らが「家族証言者」として体験を継承する事業を開始。16年度からは「交流証言者」として親族以外の人も対象に加え、被爆者と交流する機会を提供したり、話し方に関する研修を開いたりしている。

 坂本さんは、旧制瓊浦中の1年生だった13歳の時に、爆心地から1.3キロの銭座町1丁目の自宅で被爆した丸田和男さん(87)の体験を発表。全校生徒の3人に1人が原爆で命を落としたとし、「今でも胸が張り裂けそうな心の痛みを感じる」と胸の内を伝えた。最後に「丸田さんの思いをしっかり受け止め、責任を持って自分の声で語り継いでいこうと思う」と決意を述べた。

 廣瀬さんは、11歳の時に爆心地から2.2キロの稲佐町1丁目の自宅で被爆した山脇佳朗さん(85)の体験を語った。父の遺体を兄弟で火葬したつらい経験を伝え、「被爆者は平和な世界の実現を望んでいる。そのために力を尽くしたい」と話した。

丸田さんの体験を伝える坂本さん=長崎原爆資料館