山王神社のこま犬や石垣 被爆の可能性示す 長崎市調査

2019/03/21 [09:39] 公開

 長崎県長崎市の国指定史跡「長崎原爆遺跡」の調査検討委員会(会長・下川達彌活水女子大学術研究所特別教授、5人)は20日、長崎市平野町の長崎原爆資料館で会合を開いた。長崎市は、山王神社(坂本2丁目)の本殿奥にあるこま犬2体や、境内の石垣などが被爆した可能性があることを明らかにした。

 長崎市は遺跡に含まれていない境内について本年度に調査した現状を報告。こま犬2体の台座には「大正9年11月」と刻まれており、舩本勝之助宮司によると以前、本殿前にあったこま犬を2010年に本殿奥に移動したという。

 長崎市が調査を依頼した東京文化財研究所の朽津信明氏によると、こま犬の破損状況は「普通の風化とは考えにくく、何らかの衝撃を受けたものでは」などと指摘があったという。長崎市は「被爆当時のこま犬の位置を特定し、風化の進行状況を定量化したい」と考えを示した。また、被爆クスノキとして知られる2本以外の境内のクスノキ32本のうち19本が舩本宮司への聞き取りや樹木医の調査で被爆当時に存在していた可能性があると紹介した。

 長崎市は調査を2021年度まで実施し、報告書をまとめる予定。長崎原爆遺跡は「山王神社二の鳥居」「旧城山国民学校校舎」「浦上天主堂旧鐘楼」「旧長崎医科大学門柱」があり、2016年10月に国指定を受けた。

被爆した可能性があると指摘された山王神社のこま犬=長崎市坂本2丁目