美術教諭が黒板に描く60人の似顔絵 卒業生へのはなむけに

2019/03/15 [10:36] 公開

自分たちの似顔絵が描かれた黒板アートに喜ぶ卒業生=佐世保市立小佐々中

 長崎県佐世保市内の26の中学校で14日、卒業式が開かれた。小佐々町の佐世保市立小佐々中(前田和子校長、173人)では、美術教諭の出口知利さん(64)が卒業生60人の似顔絵を描いた黒板アートで門出を祝った。

 出口さんは卒業生と同じ2016年4月に“入学”。生徒に芸術を通して感動を味わってほしいと、黒板をキャンバスに、毎月水彩絵と詩を描いてきた。

 卒業生へのサプライズにしたいと休日にこっそりと制作した。「日々成長する子どもたちの姿に、逆に感動をもらった」と振り返る出口さん。胸元や手に花を持つ輝かしい生徒を囲むように、メッセージを添えた。

 メッセージは「一人一人が唯一無二の特別な存在」だと静かに呼び掛け、「友だち、先生、地域の人、両親が大切に育ててくれて今があることを忘れず、感謝の思いを素直に伝えよう」と結んでいる。

 黒板を見た生徒は「そっくり」「うれしい」と興奮した様子で記念撮影。「みんなと離れるのは寂しい」と名残惜しそうに、思い出が詰まった学びやから巣立った。