対馬の漁師YouTuber 漁など配信で魚価アップ

2019/02/26 [00:09] 公開

 長崎県対馬の魚を動画投稿サイトのユーチューブに配信している対馬地区漁業士会副会長の早田真路(しんじ)さん(52)が22日、対馬市内であった同会の学習会で「対馬のユーチューバーの挑戦! ICTを使った水産革命」と題して講演。特産アカムツ(ノドグロ)の動画を例に、漁の様子を積極的に投稿することが魚価アップにつながると強調した。
 早田さんは同市上県町の水産加工品直売店代表で、アカムツ漁船の乗組員。「対馬のユーチューバー」を自認し、2013年からノドグロ漁の様子やブリをさばく格好をする「エア解体ショー」など約1200本の動画をアップしている。
 同市厳原町の県対馬振興局であった学習会では、動画撮影から投稿までを実演。早田さんは「とにかく目立つよう、対馬というキーワードを繰り返し発信」「編集しなくてもいい。視聴者は漁師さんのリアルを見たい」と力説し、手持ちのスマートフォンで学習会の様子をアップしてみせた。
 早田さんは、テレビ局関係者の目に留まってもらおうと多くの動画を投稿したことを説明。全国放送への露出も増え、17年にはマツコ・デラックスさんらのバラエティー番組に出演したことで、対馬のアカムツが話題となった。この年の上県町漁協のアカムツの平均単価は1キロ当たり4500円。14年に比べ千円近く上がったという。
 費用対効果も説明した。購買力のある首都圏の30~50代へピンポイントで届くよう、早田さんがユーチューブや会員制交流サイト(SNS)のフェイスブックに支払った広告費は計約2万5千円程度だったという。早田さんは、28日に東京で開催される全国青年・女性漁業者交流会でも講演する。
 早田さんは「PRで実績を残すことで、対馬全体の水産業がもうかる。後継者となる若者にも夢と希望を与えられれば」と話している。

ユーチューブを使った対馬の動画について漁業者仲間に実演し、配信を呼び掛けた早田さん=対馬市、県対馬振興局