Vチューバーのオリジナルキャラ開発 長崎県立大学生サークル

2019/02/25 [15:59] 公開

 アニメ風の少女がパソコンの画面の中から、笑顔で手を振る。名前は「b-bit(ビビット)」。県立大シーボルト校(西彼長与町)のサークル「Digital Entertainment」(溝上大夢(ひろむ)部長・70人)が開発したVチューバーのオリジナルキャラクターだ。
 同サークルは約2年前に発足。イラストの作画やCGなどのジャンルで班ごとにそれぞれ活動している。近年、Vチューバーの動画が若者の間で注目されていることから昨年1月、「自分たちのクリエーターとしての力を試そう」とキャラの製作に着手した。

■最優秀賞
 現在、ほとんどのVチューバーは企業が提供するソフトウエアを利用。顔や髪形、服装などのパーツを簡単に組み合わせ、好みのキャラを作って動かしている。しかし同サークルは、自力でキャラデザインからコントローラーを使ってパソコン上で動かすシステム開発まで取り組み、昨年9月にビビットを完成させた。
 この成果を、県内の学生がデジタルコンテンツの開発力を競う「第7回長崎デジタルコンテスト(デジコン)」(アドミン社主催)に同月出品した際、最優秀賞(チーム戦)に見事輝いた。審査会で完成までの過程をプレゼンテーションした情報システム学部2年の狩俣隆ノ介さん(19)は「Vチューバーを題材に作品を発表したグループがほかになかった。斬新さが審査員に評価された」と語る。

■動画投稿
 ビビットはその後、Vチューバーとして正式に活動を開始し、動画投稿サイト「ユーチューブ」に自己紹介動画をアップ。「コスプレが大好きなマスコットキャラで、ウサギを連想させる姿だけどニンジンは苦手」。元気に話すビビットの姿は視聴者に好評だ。
 しかし、活動を本格化するにはハードルがある。ビビットを操る適任者がいないため、現在は男子部員がキャラを動かし、声はパソコンによる合成音声を使用。活動を継続し発信するには、キャラのイメージを損なわないしぐさや話し方ができる専属の「中の人」が必要という。適任者が見つかればビビットにゲームの実況などをさせる方針だ。
 同部2年の堤大河副部長(20)は「文字情報だけだと気持ちは伝わりにくいがVチューバーはキャラを操り、声やしぐさなどで感情を表現できる。ネットでのコミュニケーションの可能性を広げてくれる」と話す。

◎中の人
 主にキャラクターの着ぐるみの中に入って、発言や行動する人を指す俗語。ネット上では動画などでアニメのキャラクターを操る人を意味することが多いが、コンピューターのソフトウエア開発者やオンラインゲームの運営者を指す場合もある。

コントローラーなどを使ってパソコンの画面上でキャラクター「b―bit」を動かす部員=県立大シーボルト校
サークル「Digital Entertainment」が開発したキャラクター「b-bit」(同サークル提供)