双子で和洋2人展 長崎・長与出身29歳 異なる画風

2019/02/22 [11:11] 公開

 双子の若手画家による展覧会が長崎市常盤町のギャラリーエムで開かれている。2人は西彼長与町生まれの29歳。長崎市在住の兄辻本健輝(けんき)さんは洋画家、東京在住の弟ツジモトコウキさんは日本画家として活躍中で、長崎県初の2人展。顔立ちなどそっくりな2人だが画風は異なり、会場では新風を吹き込むような意欲作が響き合っている。
 健輝さんは海星高のころから長崎市にあった美術教室「長崎美術学院」で古典技法とデッサンを学び、18歳の時に金魚を描いた作品で県展の野口彌太郎賞を最年少で受賞。その後も長崎を拠点に人物や花、風景などをモチーフに、感性をにじませるような作品などを手掛けてきた。
 コウキさんは長崎日大高デザイン美術科のころ、伊藤若冲の「鳥獣花木図屏風」に影響を受け、多摩美術大に進学。卒業後は東京を拠点に、現代日本画の可能性を広げようとゾウやクジラ、干支(えと)などを題材に、縁起の良いストーリーのある作品づくりにこだわってきた。
 「自分の作品には絶対の自信を持っている」という2人。健輝さんについて「とてもストイックでアカデミックな作品を手掛けている」とコウキさん。コウキさんについて「野心家の一面もある」と健輝さん。性格の違いは作風にも表れている。
 健輝さんの出品作13点は色数を抑え、優しく落ち着いた雰囲気。花びらと金魚をコラージュし、闇に浮かぶような魅惑的な作品「Bloom」は異なるイメージを重ねて理想的な造形美を表現したという。
 コウキさんの作品約30点は極彩色を使い、きらびやか。古里長崎にちなんで描き下ろした「吉兆煌龍月躍図」は、龍にピンクの蛍光色も使い、龍の体が月の回りを踊っている。
 2人は幼いころからライバルで、画家を志してからも切磋琢磨(せっさたくま)しながら腕を磨き、目標の一つだった2人展を実現。「2人とも5年後はさらに進化しているはず」と話している。
 「辻本健輝×ツジモトコウキ 双子展」は24日まで。無料。
 2人は3月18~24日、長崎市古川町の複合施設「HafH(ハフ)」で公開制作、6月下旬には東京の銀座と京橋で個展を同時開催するという。

双子展を開いている兄の辻本健輝さん(左)と弟のツジモトコウキさん=長崎市、ギャラリーエム
辻本健輝さんの「Bloom」
ツジモトコウキさんの「吉兆紅白双鯨図~彩~」