富士フイルムと長崎県、長崎市 立地協定に調印

2019/02/20 [16:09] 公開

 富士フイルム(東京)と子会社の富士フイルムソフトウエア(横浜市)は19日、次世代の人工知能(AI)技術を開発する研究拠点施設を長崎市に立地するため、県、市と協定を結んだ。両社は今月から人材募集を始める。
 橋やトンネルなど社会インフラの老朽化が社会問題となる中、富士フイルムはこれまで医療分野で培った画像解析技術を活用し、昨年4月からコンクリートのひび割れ点検サービスを開始。さらに、インフラ維持に必要なデータを蓄積してきた本県、土木工学の豊富な知見がある長崎大と協業することで、より高度なAI技術による診断・補修支援事業を展開する。
 富士フイルムは昨年10月、東京都内にAI技術開発拠点「Brain(s)」(ブレインズ)を開設。これを補完する拠点として3月1日、長崎市出島町のながさき出島インキュベータ(D-FLAG)内に「Brain(s)九州」を置く。
 来年4月には富士フイルムソフトウエアがブレインズ九州内に長崎事業所を設置し、5年以内に地元採用を中心に50人体制にする方針。人材募集については、理工系大学などの新卒者向けが25日、長崎労働局と県が県立総合体育館で開く就活セミナーで、経験者向けは3月15、20の両日、東京のブレインズで企業説明会を開く。
 市内のホテルで調印式と会見があり、中村法道知事は「富士フイルムは幅広い領域で多角的に展開、発展しているグローバル企業。人材の集積、関連産業の立地、ビジネスチャンスの拡大につながると大きな期待を寄せている」とあいさつ。富士フイルムの依田章執行役員は「長崎を起点に世界に広がる技術を生み出したい」、富士フイルムソフトウエアの豊福貴司社長は「近い将来『メードイン長崎』として世界で戦える商品開発を目指す」と決意を述べた。

立地協定を結び、握手する(左から)中村知事、富士フイルムの依田執行役員、富士フイルムソフトウエアの豊福社長、田上富久市長=長崎市大黒町、ホテルニュー長崎