佐世保 健闘4位 吉塚有(川棚高) 苦難乗り越え感謝の力走

2019/02/18 [12:13] 公開

 味わった苦しさ、悔しさのすべてを、この高校ラストランにぶつけた。「温かい先輩方に囲まれて、のびのび走ることができる大好きな」佐世保チームで、小学6年から7年連続で出走した18区吉塚有(川棚高)。万感の思いでゴールに飛び込むと「タイムは納得いかないけど、とても楽しく締めくくることができた」と涙を浮かべた。
 兄、姉の影響で陸上を始め、早岐中時代から全国舞台を経験。高校でも主軸として走力を磨き、昨年1月、全国都道府県対抗女子駅伝に出走して3位入賞した。さらなる成長へ勝負の1年。その矢先に悲劇が襲った。
 2月の県高校新人駅伝大会で左脛骨(けいこつ)を折った。早期復帰が見込める手術を選んだが、歩き始めたのは4月。6月末まで金属プレートを入れたまま走ったが、県外で結果を残せなかった。その後は右臀部(でんぶ)に梨状筋症候群も発症。故障に泣いた。
 悔しさは消せないが、病院に勤務していた県下一周ランナーをはじめ「たくさんの人に支えられてきた」。今大会、チームの監督を務めた父、一典さん(佐世保高専教)は「思い切った挑戦をさせてあげたかった」。
 迎えたこの日。チームは“3強”崩しを逃したが「感謝の気持ち」を区間3位の力走で表現したつもりだ。春からは一典さんの母校でもある鹿屋体大に進学。「古里への思いを忘れず、この大会でもぜひ走り続けたい」。最後は笑顔で会場を後にした。

苦難を乗り越え区間3位と力走した佐世保のアンカー吉塚有(川棚高)=長崎新聞社