円形スーツケースで障害者アートコン 長崎大学生開催

2019/02/14 [00:08] 公開

 長崎大経済学部の学生でつくる実行委が、円形スーツケース「Snail(スネイル)」のデザインを県内の障害者に募るパラアートコンテストを初めて開いた。8日、片淵キャンパス(長崎市片淵4丁目)で入選3作品の表彰式を実施。学生は「商品のデザインを決めるという貴重な経験をさせてもらった」と語った。

 パラアートは障害者の芸術活動。大きな車輪のようなスネイルは、円形ケースにゴム製のタイヤが付けられ、ベアリングでケースの外側だけ回転し、内部は動かない仕組み。諫早市多良見町の元中学教諭、立川正昭さん(51)が2014年に開発。製造・販売は現在、紳士服大手が設立した子会社が請け負う。

 コンテストは、同社が障害者の社会参加やパラアートの普及を目的に企画。同社取締役の立川さんが「コンテストそのものを教育活動に役立ててほしい」と考え、同学部の中西善信准教授(50)に共催を提案。中西ゼミ3年の4人が昨年4月に実行委を立ち上げた。

 作品テーマは「平和なみらい」。昨夏、長崎と佐世保の特別支援学校やデイサービスセンターに出向くなどしてケース側面のデザインを募集し、小学生から60代まで約80点の応募があった。色合いやインパクトなどを審査。街頭で作品の感想を聞くことで大衆性も考慮し、若杉健篤(けんと)さん(15)の「あおいまるい」、牧山聖太さん(19)の「平和祈念像」、匿名希望の女性の「たねなしスイカたべたいなあ」の3作品を選んだ。

 実行委の石岡由里さん(21)は「普段は障害者と関わることもないので、最初は本当にできるのか不安もあった」と振り返る。

 表彰式では、学生が作品の原画を見ながら「元気にさせるような色使いに感動した」などと講評した。実行委の峠芹可(せりか)さん(21)は「喜んでもらえて達成感があった。商品化が楽しみ」と話した。

 スネイルは年内の販売開始を目標にしており、今回の入選作をデザインに取り入れた商品は限定モデルとして発売するという。

入選作のデザインを施した商品のイメージ図。(上から)若杉さんの「あおいまるい」、牧山さんの「平和祈念像」、匿名希望女性の「たねなしスイカたべたいなあ」(立川さん提供)