永井隆平和記念・長崎賞 ウクライナ人女性に 甲状腺がんの診断、研究で

2019/02/09 [10:26] 公開

 県、長崎市、長崎大などでつくる長崎・ヒバクシャ医療国際協力会(NASHIM=ナシム)は8日、同市で「第12回永井隆平和記念・長崎賞」の授賞式を開き、ウクライナ国立内分泌代謝研究所の内分泌病理研究部門長、タチアナ・ボグダノワ氏(70)に贈った。
 同賞は被爆医師、永井隆博士の平和への思いを引き継ごうと、原爆被爆や放射線被ばくに関する治療・研究に貢献した個人や団体を隔年で選び、贈っている。女性の受賞は今回初めて。
 ボグダノワ氏は、1986年にウクライナで起きたチェルノブイリ原発事故後、若年被ばく者の甲状腺がんの診断や研究に長年貢献し、「甲状腺がん国際チェルノブイリ組織バンク」の創設にも携わった。欧州連合(EU)や日本などとの共同国際プロジェクトに多数参画し、長崎大で客員教授を務めたこともある。
 ボグダノワ氏は、授賞式でNASHIMの森崎正幸会長から賞状や副賞を受け取り、謝意を述べた。記者会見では、チェルノブイリ原発事故後、現場近くで調査・研究に当たったことに触れ「怖いとか逃げようという思いはなかった」と振り返った。

賞状を受け取り、喜ぶボグダノワ氏=長崎市大黒町、ホテルニュー長崎