軍艦島の復旧工事迅速化 台風被害時 3週間で業者決定、着工

2019/01/31 [09:29] 公開

 国と県、長崎市は30日、世界文化遺産「明治日本の産業革命遺産」を構成する長崎市の「端島炭坑」(軍艦島)が台風で被害を受けた場合、今後は3週間で工事業者を決定して着工し、迅速に復旧工事を進める方針を決めた。

 軍艦島は、昨年10月の台風25号の影響で上陸用の連絡橋や見学用の通路が損壊。復旧工事に手間取り、約4カ月にわたり観光客の上陸禁止が続いている。工事終了後の2月1日に上陸見学ツアーが再開される予定。

 上陸禁止が長期化すると観光客が減少し地域経済への影響も懸念されるため、内閣官房と国土交通省、文化庁、県、同市などで構成する「端島護岸検討部会」(座長・加藤康子内閣官房参与)が対策を検討した。

 内閣官房によると、今後軍艦島で台風被害が発生した場合、国が費用補助する災害復旧事業の活用をあらかじめ想定しておき、財源に関する協議の時間を短縮。市と県は3日以内に関係省庁に被害状況を報告する。2週間で復旧工事の設計などを終え、3週間で工事業者を決定し、着工する方針だ。

 台風25号の被害では、市が県を経由して国に災害報告を提出するまでに1カ月かかり、業者と工事契約を締結して着工するまで、さらに2週間を要していた。

 内閣官房産業遺産の世界遺産登録推進室は「災害時は関係省庁と県、市が連絡を密にし、復旧工事がスムーズに進むよう改善する」としている。

昨年10月の台風25号の影響で損壊した端島の見学用通路=長崎市、端島(長崎市提供)