「ブラックバイト並み」の投票立会人…最賃以下で14時間、休憩は20分 佐世保市の町内会が改善求める

長崎新聞 2025/10/06 [16:50] 公開

投票立会人の処遇について語る浜さん=佐世保市愛宕町

投票立会人の処遇について語る浜さん=佐世保市愛宕町

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長崎県佐世保市から投票立会人の人員確保を依頼される町内会から、立会人の処遇が「ブラックバイト並みだ」と改善を求める声が上がっている。立会人は投票所で不正行為に目を光らせる重要な役割を担うが、拘束時間は10時間を超え、報酬は最低賃金前後。賃金上昇や働き方改革といった社会の変化に即応せず、12月には最低賃金の過去最大の引き上げも見込まれる中「置き去りだ」「もう協力できない」と不満が高まっている。

 7月の参院選投開票日。愛宕町で町内会長を務める浜牧次さん(77)は、相浦地区コミュニティセンター(川下町)で立会人を務めた。午前6時半に集合し、片付けが終わったのは午後8時半ごろ。休憩時間は持参した昼食を食べる20分間だけだった。

 この日、浜さんに支払われた報酬は1万2400円。14時間の拘束時間を時給換算すると最低賃金以下の885円だった。「もう二度とやりたくない。町内会は小間使いじゃない」と納得いかない様子で語る。

 市選管によると、報酬は条例で「国の法律に準拠する」としており、国が定めた基準額をそのまま採用している。現在、市独自で報酬額を見直す検討は予定していないという。

 市選管の担当者も現状の運用に難しさを感じてはいる。拘束時間や報酬に対する意見は複数寄せられており、手配を断られるケースも少なくない。人員確保に時間がかかる場合が多くなっており、参院選は必要な277人を集めるのに2カ月かかった。担当者は「限界を感じている」と頭を抱える。

 立会人の処遇の悪さは、市内ほかの地域でも話題になっている。三川内地区自治協議会の山口英夫事務局長はこれまで「報酬が安い」「トイレにも行けない」といった引き受けた住民の声を市側に伝えてきた。「今のやり方では厳しい。町内会も高齢者ばかりでなり手不足。今後どうするのだろう」と気をもむ。

 飲み物を買いに行けず、体調を崩した経験があるという北部地区の60代男性町内会長は「条件が悪すぎて誰にも頼めない。昔からのやり方を踏襲しているだけで町内会の負担が増え続けている」と強調する。来年2月の知事選でも人員確保の依頼が予想されるが、「手配しない」と回答する予定だという。

 浜さんは7月の立会人の経験後、全国の自治体で独自の報酬を設定したり、県内でも公募方式を取り入れている事例があることを知った。佐世保市選管の対応は遅れていると感じている。「少なくとも最低賃金は保証し、昼と夜の2部制にして負担軽減した方がいい。市はもっと末端で協力する人のことを考えてほしい」と話す。