【インタビュー】長崎県警本部長になった前田勇太さん(50) 詐欺に「一枚岩」で戦う

長崎新聞 2026/03/16 [11:36] 公開

長崎県警本部長の前田勇太さん

長崎県警本部長の前田勇太さん

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〈昨年1年間で被害総額が11億円を超え、県内でも「過去最悪」の水準で推移するニセ電話詐欺。対策や治安維持にどう向き合うのか聞いた〉

 -衆院解散日の1月23日付で着任。知事選の最中でもあった。
 すでに知事選に向けて取り締まり体制を構築している中での衆院解散や本部長交代だったので、選挙対応はスムーズに進んだ。

 -ニセ電話詐欺の被害が後を絶たない。
 危機的状況という認識でいる。詐欺を繰り返す匿名・流動型犯罪グループ(匿流)の拠点は海外にあり、県境国境を越えた犯罪。全国警察を挙げて取り組み、匿流による違法なビジネスモデルを解体するのが最終目的だ。
 県民には、国際電話の利用休止手続きをするなど犯罪に遭わないための行動をお願いしたい。かつては高齢者が標的になっていたが、いわゆる「ニセ警察詐欺」やSNS(交流サイト)型詐欺は20、30代の現役世代の被害も多い。昨年「ニセ警察VS本物警察」のやりとりを新聞、テレビに取り上げてもらったら反響が大きかった。被害抑止広報の観点でマスコミとの協力関係も大事にする。

 -これまでのキャリアで印象に残っている仕事は。
 駆け出しの頃、ピッキングなどの侵入犯罪が横行していたが、被疑者が侵入目的でドライバーを持っていても軽犯罪法でしか取り締まることができなかった。当時、警察庁生活安全企画課の係長という立場で「ピッキング防止法」の立案に携わり、現場の刑事から評価してもらった時はうれしかった。警察庁は制度や法律の企画立案に当たるのが仕事だが、最終的には各都道府県警察の現場業務に行き着く。その視点はずっと大事にしている。

 -理想の組織像、リーダー像を。
 ニセ電話詐欺もそうだが、犯罪は県境国境を越えている。警察も他県や警察庁と連携して「オール警察」で臨まないと勝てない。一枚岩でありたいと、着任あいさつで職員たちに話した。同時にAI技術や国際情勢など時代の変化を敏感に感じ取り、柔軟でしなやかに対応できる組織でありたい。そう導けるリーダーが理想。職員が誇りと自信を持って任務に専念できる環境を整え、県民の平穏な生活を守る。

 【略歴】まえだ・ゆうた 東京都出身。慶応大経済学部を卒業後、2000年に警察庁入庁。生活安全局生活経済対策管理官、警備局警備運用部警備3課長など歴任。学生時代は空手に励み、現在もジムで筋トレを欠かさない。ちゃんぽん店巡りを楽しんでいる。