2年半余り“閉店”状態となっていた長崎市岡町の売店「被爆者の店」跡に、雑貨や飲食物を販売する店が入居することが15日、分かった。新店舗は今月下旬以降にオープンする予定。戦後、困窮した被爆者の厚生施設として始まり、現在の長崎原爆被災者協議会(長崎被災協)1階などで営まれてきた被爆者の店の看板は近く外され、60年以上の歴史に幕を下ろす。
被災協の建物は、平和公園内の平和祈念像がある広場に隣接。多くの観光客や市民らが行き交う一角に、交流と憩いの空間が新たに生まれる。
被災協は1957年、世界各地からの寄付金などを元に被爆者の店を始めた。観光客らに軽食や土産物などを販売。原爆で傷ついた被爆者を雇い、収入や社会参加を支えたほか、反核平和運動の拠点にもなった。
2回の建て替えを経て、94年から現在地に移転。99年、直営から賃貸に変わり、テナント業者が店名を引き継ぎ営業してきたが、新型コロナ禍で売り上げが激減し2020年9月に撤退した。被災協は財源の多くを占める家賃収入を失い、財政難に陥っていた。
新たに入居する店舗は、2月まで市内でカフェを営んでいた吉田篤郎さん(36)と母佳代子さん(64)が経営する。名称は「Blue Bronze Store」。青銅(ブロンズ)製の平和祈念像や、平和を連想させる青色(ブルー)をイメージして命名したという。
同店では、佳代子さんが役員を務める会社の服飾雑貨やインテリア商品、地元で作られた菓子や土産品を販売。県産茶やコーヒー、軽食なども提供する。市民がアトリエやイベント会場として使えるスペースも設け、吉田さんは「県内外の知らない人同士が交流したり、平和についてゆっくり考えたりする場所にしたい」としている。
財政難に陥っていた被災協は21年以降、緊急支援募金を呼びかけ、全国から1千万円以上が集まった。被災協は新店舗のオープンを前に「寄付への感謝を伝えたい」として、近く会見を開く。
60余年の歴史に幕 長崎「被爆者の店」 新店舗は“憩いの場”
長崎新聞 2023/04/17 [11:00] 公開
