長崎市北公民館 文科省・優良公民館表彰で「優秀館」 県内で初選定

2023/04/06 [12:10] 公開

表彰状を手にする出口館長=長崎市千歳町、市北公民館

 長崎市千歳町の市北公民館は、幅広い世代の目線に立った対面とオンラインでの講座の開催や紙とウェブを併用した広報に力を入れるなど「広い世代に親しまれる、新しい時代の公民館」を目指している。文部科学省の2022年度第75回優良公民館表彰では「公民館活動の不易と流行のバランスを大事にしながら魅力的な講座を実施した」と評価され、県内で初めて「優秀館」に選ばれた。
 公民館は高齢の利用者が多い傾向にあるが、同館は子育て世代とその子どもたちのニーズにも対応している。複数の講座をパッケージ化したオムニバス講座を提供。しめ縄や手打ちそばづくり、魚のさばき方教室など季節に合わせた親子向け講座を企画したり、金融教育講座やジェンダーの視点から読み解く歴史講座を開いたりするなど、「地域の抱える社会的課題や好奇心を反映させた」講座を模索している。「次の利用者と、担う人も育てていかなければ」と、これまで公民館で講師をしたことない地域の人材の発掘にも力を入れる。
 優良公民館表彰は、事業内容や方法などに工夫を凝らし地域住民の学習活動に大きく貢献している全国各地の公民館で、22年度は72館が選ばれた。うち最優秀は1館、優秀は4館。
 市北公民館は公共ホール管理会社「ステージサービス」(同市)が20年から運営している。講座の企画やチラシのデザイン、交流サイト(SNS)の発信などを自ら手がける出口亮太館長(43)は優秀館表彰について「公民館を地域のみんなでつくり上げている。長崎市、西浦上地区が評価されてうれしい」と受け止めている。その上で「公民館はその街の縮図。街の今をどう公民館に取り入れていくかでより魅力的な施設になる。生涯にわたって学び続けることの大切さを、時代の感性に訴求していかなければ」と話した。
 同社は、同館とチトセピアホールに加え、本年度から市民活動センター「ランタナ」(同市馬町)を管理運営している。

春の講座のチラシの一部。出口館長がデザインしている