公共施設経費など初公開 南島原市「見える化」で広報2月号に掲載

2023/02/22 [10:30] 公開

南島原市の主な公共施設の運用状況を「見える化」した広報紙2月号のページ

 長崎県南島原市は、主な公共施設の利用状況や経費などを2020年度決算を基に「見える化」し、広報誌(2月号)に初めて公開した。公共施設の課題や方向性を示す素材の一つとして、市民に現状を認識してもらうのが目的。
 06年、旧8町が合併し新市が発足したが、1970年建設の布津公民館(布津町)や、72年建設の西有家慈恩寺体育館(西有家町)など建物の5割以上が築30年以上経過。同種同規模の建物も各町にあり、少子高齢化や市民ニーズの多様化に合った施設規模や配置に合わなくなっていた。
 計39施設の▽年間利用者数▽稼働1日の利用人数▽人件費や物件費などの経常経費から使用料など経常収益を引いた純行政コスト(円)-など四つの指標を公開した。市は「見える化」に伴い、公共施設の適正配置や予防保全による長寿命化、維持管理コストの管理運営を目指す。
 市の2021年度決算の経常収支比率は安定。財政健全化判断比率も数値的に問題はない。だが、依然として財源の多くを普通交付税、国県支出金、地方債などの依存財源で賄う財政構造だ。
 担当した市財政課は「老朽化した公共施設の存廃や廃止後の跡地活用を見据えた公開が前提でない」としながらも、人口減少や、少子高齢化に伴う市税減収、社会保障費の増加を受け、「将来的には厳しい財政運営が予想される。管理経費の圧縮(縮小)を確実に実施していく必要がある」としている。