北京五輪代表選考を兼ねた競泳の日本選手権(4月・東京)。山口美咲は女子二百メートル自由形で4位に滑り込み、リレー種目の代表権をつかんだ。代表31選手中、最年少の18歳は「日本代表に入るのも初めてなら、すべてが初めて。すごい人たちと一緒に北京に行けるのがうれしい」と本番が待ち切れない様子だ。 水泳のコーチだった両親の影響を受けて「物心がついたころには水の中にいた」。小学2年から約3年間、プールから離れた時期もあったが、その後は本格的に競技に没頭。恵まれた体格を生かして徐々に頭角を現し、中学2年の全国中学大会五十、百メートル自由形で2位入賞。翌年は2冠に輝いた。低迷が続く日本の自由形界のホープと期待されるようになった。 中学卒業後、親元を離れて東大阪市の近大付高に進学。「五輪を目指すためにハイレベルな環境に身を置きたい」。多数の五輪選手を輩出しているイトマンSSを選んだ。母、栄美も迷ったが「最後は本人の決断に任せた」。15歳の少女が一人、夢を追いかけて旅立った。
心の支えになってくれた人が、大阪にもう一人いた。シドニー五輪女子二百メートル背泳ぎで銅メダルを獲得した中尾美樹(長崎市・聖マリア学院中出身)だ。 現在、近大職員の中尾は、自分と同じ道をたどってきた山口を妹のようにかわいがった。「どんなことがあっても、明確な目標を持って努力をすることが大事。それがみんなへの恩返しにもなるんだよ」。中尾のアドバイスはいつも的確だった。「私が求めている答えが全部返ってきた。五輪に行きたいという気持ちが強くなった」 先月のジャパンオープン(東京)。山口は百メートルで55秒3、二百メートルで2分0秒8の自己ベストを記録した。「ターンが苦手」など粗削りな部分も多いが、逆に考えれば、まだまだ伸びる余地が残されている証拠だろう。北京の舞台は成長のためのステップ。到達点は「個人種目で出てメダルを取りたい」という4年後のロンドン五輪だ。 略歴/やまぐち・みさき 諫早市出身。水泳のコーチだった両親の影響で幼いころから水に親しみ、真城中2年の全国JOC大会13−15歳百メートル自由形で優勝。高校2、3年のインターハイ五十メートル自由形で連覇を果たした。恵まれた体格を生かしたダイナミックな泳ぎが持ち味。北京ではレーザーレーサーを着用して、四百、八百メートルリレーに出場予定。決勝進出を目標に掲げる。165センチ、58キロ、18歳。 2008年7月19日長崎新聞掲載
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