第63回国民体育大会(チャレンジ!おおいた国体)

総評/浮上のきっかけつかむ 若い指導者を強化の中心に

ハンドボール少年男子
“本県史上最強チーム”で日本一に輝いたハンドボール少年男子=大分市、大分県立総合体育館
 第63回チャレンジ!おおいた国体は9月27日から11日間の日程で38競技(水泳、ゴルフ、フェンシングは9月11−15日に先行開催)を実施。本県の天皇杯総合得点は895点で30位(昨年の秋田国体=819・5点、35位)。目標の20位台には15・5点届かなかったが、2年連続で30位台後半に低迷していたことを考えれば、浮上へのきっかけをつかんだ大会だったといえる。

 天皇杯の競技得点が加算される入賞(8位以内)を勝ち取ったのは、出場33競技中21競技。団体は体操成年女子、ソフトボール少年男子、ハンドボール少年男子が優勝したのをはじめ、計21個の入賞。個人は2年ぶり2度目の優勝を果たした陸上成年男子一万メートル競歩の森岡紘一朗(富士通)ら延べ38人が入賞した。得点が最も多かったのが重量挙げの41点。ハンドボールとソフトテニスが40点で続いた。

 昨年に続き、成年勢の活躍が目立った。数年前までは、少年勢に頼りがちだったが、当時の少年勢が高校卒業後も競技を続け、大学生や社会人として出場。特に長崎ゆめ総体があった2003年前後に高校生だった選手らが、天皇杯順位浮上のけん引役となった。

 団体優勝を飾った体操成年女子の椋本啓子(大体大大学院)、陸上の森岡ら“ゆめ総体世代”は、完全に本県のエースに成長。加えて、北京五輪に出場したバレーボール成年男子の朝長孝介(堺)や、元日本代表で現役引退したバスケットボール成年女子の永田睦子(自営業)ら日本トップ級の選手たちが「長崎のために」と全力を尽くしてくれる姿は、実に頼もしかった。

 少年勢は“本県史上最強チーム”で挑んだハンドボール男子が実力通りの結果。ソフトボール男子が優勝(雨天中止で8道県同時優勝)、弓道女子団体が遠的2位、近的4位と2種目入賞、アーチェリー男子団体が2位となるなど奮闘した。だが、2005年埼玉国体など一時の勢いを考えると、低迷期を脱していないように感じられた。

 競技別で見ると、国体へ向けた強化を続けている競技と、そうでない競技の明暗がはっきりと分かれた。例えば、少年女子が大活躍した弓道は、インターハイにはない遠的の練習会を定期的に実施。結果につなげた。

 しかし、競技の中には、現場指導者の「強化練習会をやりたい」という訴えに対し、県協会が許可を出さなかった例もあった。当然、結果は出ていない。予算の問題などがあったのかもしれないが、現場の指導者がやる気を失えば、強化はそこでストップする。

 強化策の第一歩は、協会内の温度差をなくし、方向性を定めることだと思う。各協会、連盟は今回の結果をただ漫然と受け止めるだけではなく、何が必要なのかを考え、対策を練ってほしい。どの競技も、熱意ある若い指導者が多数育っている。経験豊富な指導者の存在は絶対に欠かせないが、若手を強化の中心的存在として抜てきし、活性化を図るのも一つの手ではないか。

 今回、一番印象に残った場面を一つ紹介したい。陸上成年男子八百メートルで7位入賞を果たした堤大樹(アコム)の予選の走りだ。決勝進出(入賞)が決まる2位争いはゴール前まで大混戦。堤は前のめりになりながら胸を突き出し、ゴール後はそのまま倒れ込んだ。見事に2位。3位との差は100分の1秒だった。

 堤は決勝後、林田正規監督(長崎女高教)を訪ねた。入賞したにもかかわらず、7位という結果をわびた。実業団選手として不本意だったのかもしれない。その目からは涙がこぼれ落ちた。インタビューで彼は「長崎に少しでも恩返しがしたかった」と話してくれた。

 来年以降、そんな気持ちを、出場する全選手が持ってくれることを願っている。(副島宏城)

2008年10月8日長崎新聞掲載


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