大村・東彼が首位発進   2位長崎、3位北松・松浦


郷土の誇りを胸に、3日間の熱走ドラマのスタートを切る11チームの選手=長崎市茂里町、長崎新聞社前
 第54回郡市対抗県下一周駅伝大会第1日は18日、長崎市―松浦市の11区間、126・4キロで行われ、優勝候補筆頭の大村・東彼が6時間39分27秒で日間首位を獲得した。

 大村・東彼は1区久米(白石高)が区間賞、2、3区の松田憲、秋山(ともに陸自大村)も区間2、3位と順調に滑り出すと、4区馬場(大東文化大)で再び首位に立った。その後は全員が区間4位以内でたすきをつなぎ、2位長崎に6分58秒の大差をつけた。

 長崎は4区福岡(三菱重工長崎)、5区奥原(長崎大大学院)の区間3位の力走で2位に浮上するなど粘ったが、終盤に息切れした。北松・松浦は4区宮崎(拓大)の区間賞の好走で2位浮上。一時は5位まで順位を下げたが、10区男澤(東農大)の区間2位の力走などで盛り返し、4位西彼に18秒差でゴールした。

 西彼は2区森(諫早高)、アンカー吉井(第一工大)の主力がそろって区間賞を獲得したが、中盤の失速が響いた。以下、佐世保、五島、壱岐、南高・島原、対馬、平戸、諫早・北高が続いた。

 第2日の19日は、平戸市―南高小浜町の13区間、149・5キロで競う。

 【評】大村・東彼が危なげないレース運びで日間首位を獲得した。2位長崎との差は6分58秒。独走の可能性も出てきた。

 大村・東彼は1区久米(白石高)が区間賞でスタート。3区までは西彼に先行されたが、4区馬場(大東大)が粘り強い走りで首位を奪い返すと、その後は10区森宗(中大)の区間賞などで後続を突き放した。選手全員が区間4位以内。取りこぼしがなかった。

 長崎は5区奥原(長崎大大学院)、6区三浦(瓊浦高)の力走などで、9区まで大村・東彼を1分24秒差で追ったが、10区本村(長崎中央郵便局)、アンカー鷲尾(三菱重工長崎)がまさかのブレーキ。V2へ黄色信号がともった。

 北松・松浦は日間3位と健闘した。宮崎(拓大)がエース区間の4区を制してチームを勢いづけた。実業団選手を相手に真っ向勝負。ラスト200メートルで2人を振り切った。西彼は序盤、2区森(諫早高)の区間賞などで主導権を握ったが、中盤以降は苦しいレースが続いた。アンカー吉井(第一工大)の区間賞で傷口を最小限にとどめた。

 佐世保は6区田中(筑波大)の区間賞の活躍などで5位。五島はアンカー山川(五島高職)の区間3位の好走もあり、佐世保と4分1秒差の6位でゴールした。7位壱岐と8位南高・島原の差は55秒。対馬は前回から13分38秒躍進して9位。平戸が10位、諫早・北高は最後まで流れをつかめずに11位だった。






 大村・東彼、後半は独壇場


第10中継所。大村・東彼の10区森宗(中大・左)から11区村山(コマツ電子金属)にたすきリレー=田平町
 前回、51秒差で2位に甘んじた大村・東彼が、その悔しさを振り払うようなレースを披露した。前半6区間こそ接戦だったが、野口康之総監督(九州電通)が「当然やってくれる」と自信を持って送り出した後半5区間の精鋭たちが大活躍。6区まで19秒だった2位長崎との差を、6分58秒まで広げて日間首位のゴールに飛び込んだ。

 序盤は苦しんだ。1区久米(白石高)が1位スタートするも、2区で西彼に逆転を許し、3区まで2位。3年ぶりに復帰した4区馬場(大東文化大)の「いい走りをして優勝を引き寄せたい」という気持ちの入った力走で先頭を奪い返したが、後続を突き放せないまま佐世保入りした。

 だが、7区からは大村・東彼の独壇場だった。川口成(諫早高)と8区松田浩(コマツ電子金属)が連続区間賞を獲得。圧巻は10区森宗(中大)が「しっかり仕事をしようと思った。先頭でたすきをもらい、自分のペースでいけた」と、強い向かい風を受けながら、後半の下りで加速。長崎との差を2分52秒に広げた。

 終盤の長崎の失速も手伝って得た大量リード。野口総監督は「5分勝てればいいと思っていたが、約7分はラッキー」と笑みを浮かべながらも、「優勝に少し近づいたが、まだ第1日」と気を緩めようとしない。3年ぶりの栄冠を実際に手にするまで。第2日も他チームがうらやむような充実の布陣で、Vロードの足固めをするつもりだ。(副島)



 西彼(諫早高)の森 5連続区間賞

 県高校ナンバーワンランナーの称号に偽りはなかった。西彼の森(諫早高)が、大学、社会人の強豪がそろった2区(12・2キロ)で堂々のレースを展開。2年前の初出場以来、自身5連続区間賞を獲得した。

 横なぐりの雨が体をたたきつける悪条件。森も苦しむかにみえたが「県内で恥ずかしい走りはできない」と序盤からエンジン全開。1キロ付近で2人を抜き首位に浮上。6キロ付近まで大村・東彼の松田(陸自大村)との併走が続いたが、7キロすぎのアップダウンで揺さぶりをかけて突き放した。川田孝司総監督(浦上自動車学校)は「全国の大舞台で場数を踏んでいるだけに、勝負どころを心得ている」と若きエースの快走をたたえた。

 「昨冬の都大路の敗北(1区で19位)が僕を強くした」。涙に暮れたあの日から、冬休みも返上して練習に明け暮れた。三月、出身地の西彼多良見町が諫早市と合併するため、西彼での出場は今回が最後。次の出走も、チーム事情から主要区間での起用になりそうだが「僕にチャンスをくれた西彼に3年分の恩返しがしたい」。6連続区間賞でチームに貢献するつもりだ。(西)



 若い力を原動力に 北松・松浦


4区のデッドヒートを制した北松・松浦のエース宮崎(拓大・左)から5区菅(陸自大村)へたすきリレー=西海町
 大学生の若い力が躍進の原動力になった。今大会、平均年齢が最も低い北松・松浦が、果敢なたすきリレーで日間3位と健闘。北川一郎総監督(吉井町役場)は「選手全員が力を出し切った結果。宮崎(拓大)をはじめ大学生の力が大きかった」と声を弾ませた。

 2区で準エース格の谷本(法大)が区間3位の好走を見せるなど、序盤から上位に食らいつくと、4区のエース宮崎(拓大)がチームを完全に勢いに乗せた。

 強豪が集う区間で長崎、大村・東彼と三つどもえのデッドヒートを展開。残り約200メートルからのスパートで区間賞に輝いた。「気持ちよかった。自分の走りでチームに勢いをつけたかったから」。満足そうにレースを振り返った。

 ラストは10区男澤、アンカー松尾の東農大コンビが要所を締めた。男澤はレース直前の主力の故障で、急きょ10区を任されながら、区間2位の粘走。松尾は終盤、肉離れのアクシデントに見舞われたが、苦痛に顔をゆがめながらも気迫でフィニッシュした。

 北川総監督は「若い力がつくってくれたこの流れを維持したい。総合3位が最大目標。第2日も気を引き締めていく」と闘志を新たにしていた。(田下)



 新生五島が好スタート 「しま」の心一つ日間6位

 早春の県内をひた走る郡市対抗県下一周駅伝大会。今年も十八日、選手たちが郷土の誇りを懸けて繰り広げる熱いドラマが始まった。市町村合併に伴うチーム再編で、前回まで福江、五島に分かれて出場していた2チームは、今回から一つのチーム「新生五島」として参加。前回8位の五島、最下位の福江が力を合わせ、日間6位という好スタートを切った。

 「2チームが合併するのだから強くなって当然」。周囲にはそんな見方もあった。だが、ライバル同士が一体となるのは簡単ではなかった。前回まで福江の総監督で、昨年十一月に新チームの総監督に就任した山本八郎さんは「大変な役を引き受けてしまったな」。これが本音だった。選手選考方法など相違点は幾つもあった。「いい選手がそろうだけでは駄目。駅伝はチーム競技だ」。互いの思いを一致させるため、何度も五島市と新上五島町を往復した。

 「大会を目指して地道に練習してきた多くの選手が出場できなくなった」。チームの合併による出場者数半減という問題もあった。だが、選手たちは「選ばれなかった仲間のためにも」と懸命に走った。五島列島が一つになることで「離島でも本土に負けない」という心意気を示した。

 新チームの門出に、中尾郁子五島市長もスタート地点の長崎新聞社前に駆け付けた。「合併というのは町と町の連携。新上五島町と五島市が1チームで出場する意味は大きい。みんなが注目している。頑張ってほしい」とエールを送った。

 山本総監督も「一人ひとりがチームのために最大限の力を出してくれた」と確かな手応えを感じた。「最終日には目標の総合5位を達成し、胸を張って五島に帰りたい」。そう話す言葉に自信がみなぎっていた。


2005年2月19日長崎新聞掲載