つかめ! 甲子園
第 86 回 全 国 高 校 野 球 長 崎 大 会

最終日試合結果(7月25日)
佐世保実が12年ぶり3度目の甲子園

12年ぶり3度目の甲子園切符を勝ち取った瞬間、マウンド上で抱き合って喜ぶ佐世保実の選手たち=長崎市、県営ビッグNスタジアム
 第86回全国高校野球選手権長崎大会最終日は二十五日、長崎市の県営ビッグNスタジアムで決勝を行い、佐世保実が9―7で清峰を破り、第74回大会以来、12年ぶり3度目の優勝を飾った。

 佐世保実は1―1の五回、4連続四球などで2点を奪い逆転すると、六回には上田の2点適時打など6長短打で4点を追加。試合の主導権を握った。守ってはエース當間が、粘りの投球で清峰打線の反撃をしのいだ。

 全国高校野球選手権は八月七日、兵庫県西宮市の甲子園球場で開幕する。組み合わせ抽選会は同四日、大阪市内である。


【ビッグNスタジアム】
▽決勝(終了)
1 2 3 4 5 6 7 8 9
佐世保実  0 1 0 0 2 4 1 0 1 9
清 峰  1 0 0 0 0 0 4 0 2 7
(佐実)當間−杉山
(清峰)古川、末永、久保−森
▽三塁打 上田(佐)
▽二塁打 當間、竹原大(佐)野元(清)
▽試合時間 3時間3分

   
 【評】佐世保実が両チーム計26安打の乱打戦を制した。

 佐世保実は1―1の五回二死満塁から2四球を選び逆転。六回には竹原大のスクイズ、上田の右越え三塁打など打者一巡の猛攻で4点を奪った。清峰の「左の二枚看板」の古川、末永をエンドラン、犠牲バント、重盗などを絡めて攻略した。エース當間は連投の疲れから、清峰打線に計12安打を許して7点を失った。それでも、九回一死一、二塁のピンチを併殺で切り抜けるなど、粘り強く投げ抜いた。バックも再三の好守備でもり立てた。

 清峰は古川、末永の両左腕が制球を乱し、六回までに降板。打線の奮起で九回に2点差に迫ったが、中盤までの失点が大きすぎた。


機動力絡め多彩な攻め “無印”佐実が真骨頂

 九回裏一死一、二塁。エース當間が投じた161球目が三塁清原のグラブに吸い込まれる。二塁に転送されてゲームセット。マウンドの當間目掛けてナインが重なり合う。ベンチから井上慶希監督が大きな一歩を踏み出した。「生徒たちの力で勝った。きつねにつままれたみたいだね」

 県北ナンバーワンの座も懸かった大一番。この負けられない戦いで、佐世保実は持ち味の機動力を存分に発揮した。二回に敵失で同点にすると、五回には内野安打の村田が三盗で相手バッテリーを揺さぶる。動揺した清峰の先発古川が4連続四球。労せずして逆転に成功した。

 続く六回も重盗、竹原大のスクイズと多彩な攻めで清峰の「左の二枚看板」を攻略。「無安打でも機動力を使えば1回1点は取れる。それが積み重なれば9点なんだ」。井上野球の真骨頂を見せつけた。

 全国の強豪が県外から有望選手、外国人選手を補強する時代。そんな状況でも、井上監督は「町内野球」のスタイルを貫いた。スタメンの平均身長は171センチ。傑出した選手はいない。原石を発掘して磨いた。

 その代表が當間だ。身長163センチ。上背がなく、投手には起用しづらいタイプ。それでも「球の出どころが見にくい。直球が自然にシュート、スライダー回転する」。2年春に外野手から投手に転向。今ではチームの大黒柱に成長した。

 こんな無印の選手たちが甲子園の舞台に立つ。井上監督は「この子たちは一発勝負に強い。面白いよ」。全国の猛者相手に「ちびっ子軍団」がどう挑むか。今から楽しみになってきた。(西)


小さなエース當間 熱投161球

 「こんな小さな僕でもやれるんです」。熱投161球。佐世保実のエース當間は、胸に輝く金メダルを誇らしげに掲げた。

 身長163センチの小さな体でマウンドを守り抜いた。3連投となったこの日は「もう握力がなくなっていた」。それでも、気力を振り絞った。90キロ台のカーブに、120キロ台の直球、スライダー。「緩急の幅」を巧みに使いながら攻めの投球を貫いた。終盤、清峰打線につかまりかけたが、味方打線の援護と好守備に支えられて完投。井上監督も「當間がエース。當間で負けたら仕方がない」と最後までエースにマウンドを託した。

 試合後、井上監督は「甲子園の打者はあの遅い球に戸惑うだろう。そうは打たれないよ」と太鼓判を押した。當間も「強打者を仕留めてヒーローになる」と新たな目標を掲げていた。


村田主将、兄弟で甲子園出場へ

 佐世保実・村田金彦主将の「兄弟で甲子園出場」という夢が実現した。「兄の背中を追い続けた。その夢がかなうなんて。いい報告ができます」と目頭を熱くした。

 実兄は同校OBで、巨人の村田善則捕手。12年前、主将として部員79人のチームを率いて甲子園切符をつかんだ。金彦は当時6歳。アルプススタンドから活躍する兄に声援を送った。比較されることに嫌気が差したこともあったが、「兄を超えよう」とひたすらバットを振り続けた。井上慶希監督は「攻守の総合力は兄が上だが、状況判断とシュアな打撃は勝るとも劣らない」と評価している。

 今大会は1番打者としてチャンスメーク。守備でも再三の好プレーでチームを救った。「やっと兄と同じ舞台に立てる。でも、これからが勝負。金彦の兄が善則と周囲に呼ばせるような活躍をしたい」と大舞台での「兄超え」を誓っていた。




長崎新聞TOP