・西彼杵高弓道部  松尾あすか(2年)

2003年7月4日長崎新聞掲載


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 地元の思い矢に込め
 6月2日、西彼大瀬戸町民体育館であった県高総体弓道競技の閉会式。同競技専門部長を務める地元西彼杵高の吉田利吉校長は、感無量の思いで女子個人2位の松尾あすか(同高2年)に賞状を手渡した。「地元の期待」というプレッシャーをはねのけ、ゆめ総体出場を勝ち取ってくれた生徒。「表情には出せなかったが、正直賞状の文字がかすみました…」

 ゆめ総体の弓道競技は8月2―4日、同体育館で行う。約6年前に開催が決まってからは、同高、地元自治体、地域を挙げて受け入れ準備に奔走。その段階で、やはり最重要事項の一つに挙がったのが、地元西彼杵高の選手のゆめ総体出場権獲得だった。

 取り掛かりは決して早くはなかったが、同町教委が中学生を対象にした弓道教室を立ち上げるなど、できる限りの努力を重ねてきた。町民参加の弓道愛好会も発足した。県弓道連盟の温かい支援もあった。


松尾あすか
西彼杵高から唯一、長崎ゆめ総体弓道出場権を獲得した松尾あすか(2年)=大瀬戸町、西彼杵高弓道場
 そんな周囲の熱意に応えるように、同高弓道部は急成長。宮本美幸監督の熱心な指導の下、今季の女子チームは昨年11月の九州新人大会団体で3位入賞。4月のKTN杯でも3位に入り、団体でのゆめ総体出場が手に届くところまできた。

 だが、団体は初日の予選でつまずいた。個人の予選突破も、宮本監督は「最低4人ぐらいは…」とみていたが、結果は松尾1人だけ。嫌なムードが漂う中、その松尾が救世主になった。

 安定した姿勢から次々に的を射抜き決勝進出。宮本監督は「うれしいというよりホッとした」。松尾は「ちょっと信じられなかった。まさか私がインターハイに出られるなんて…。みんなが応援してくれたおかげだと思う」と相好を崩した。

 ゆめ総体本番は、同高弓道部員全員が補助員として運営に携わりながら、松尾に声援を送る。加瀬美沙子主将(2年)は「正直、うらやましいけれど、私たちの分まで頑張ってほしい」。宮本監督も「卒業していった先輩たち、部員、応援してくれた方々の思いが詰まった出場権。予選突破を目指してほしい」とエールを送っている。

 松尾本人も期待の大きさは実感している。「私だけのゆめ総体ではない。3位以内に入りたい」。先輩、友人らの気持ちがこもった矢を、全国の舞台で放つつもりだ。