手作りエリアマップ
2003年5月3日長崎新聞掲載



来県者に快適情報

 「路面電車は一律百円」「この店のちゃんぽんは絶品」―。イラスト入りの地図に書き込まれた高校生の直筆文字。競技会場や練習会場周辺を紹介する「手作りエリアマップ」は“長崎っ子”の生活情報知識と表現力が問われる一人一役運動の一つだ。

 長崎ゆめ総体(全国高校総合体育大会)がある七月二十八日から約一カ月間は、選手ら約六万人の参加者のほか、保護者ら応援者約五万人が来県。マップは土地勘のない人たちに移動手段や食事、買い物、トイレや休憩場所などの情報を提供し、快適に観戦してもらおうと各会場などで配布される。一部は自治体が発行するガイドブックに掲載する。

 県内公私立高校計約三十校が一から三地域のマップ作りを受け持つ。準備の早かった高校は昨秋から着手。現在は仕上げの段階だ。

 佐世保地区にある七校の担当校の一つ、九州文化高。完成間近のマップを広げて女子生徒たちの談笑が放課後の教室に響く。

 「名前は絶対『便利かマップ』にしようよ」

 「いいね。全国の人たちに九州弁を知ってもらおう」

しゃしん
手作りのぬくもりを伝えようと、マップの仕上げ作業に取り組む生徒ら=佐世保市矢岳町、九州文化高
 製作に携わるのは國清恵子さん(17)ら三年生七人。「ゆめ総体は選手だけでなく高校生全員が主役になれる。だから楽しんで作りたいんです」。七人は初めて郷土で開催される高校スポーツの祭典に心躍らせ、参加できる喜びをかみしめる。

 同校の担当エリアは佐世保市中心部と大野地区。競技会場、病院、銀行、コンビニエンスストア、バス停や駅の位置などを正確に把握するため、描く前に足を棒にして街中を歩いた。

 佐世保の旬の情報も県内外の人たちに知ってもらおうと、地元高校生に人気のある飲食店やメニュー、商品もマップで取り上げることにした。友人の口コミ情報を確かめようと実際に店を訪ね、試食をしたこともあった。作業は古里の街並みや魅力を再発見することにもつながった。

 神田奈々さん(17)は「選手が試合に集中できる環境をつくるのが私たちの役割。バレーボール部など選手として頑張っているクラスメートを見ているから、マップ作りへの思い入れは強い」と目を輝かせる。

 七人は「全国の人を歓迎するため長崎の高校生は燃えている」と口をそろえる。観光県長崎に息づく“もてなしの心”は一人一役運動を通じ確実に若人へ広がっている。



2003年長崎ゆめ総体