案内所
2003年5月2日長崎新聞掲載



手作りの温かさ感

 長崎市岩屋町の県立長崎工業高。放課後の校舎からのこぎりの音が聞こえる。三人の生徒が居残り、工作室で作業中だ。「休みの日もやってます。もうすっかり生活の一部ですね」。建築科三年の宮崎一哉君(18)はそう言って笑顔を見せた。

 県教委はゆめ総体に合わせ本県を訪れる人たちのため、七月二十五日から一カ月間、専用の総合案内所を長崎駅と長崎空港に設置する。案内所として使われる建物の建設は、長崎工業高と大村工業高の生徒たちに託された。

 長崎工業高への注文は「長崎らしいグラバー邸風のデザイン」。昨年七月、当時の三年生が設計に取り掛かり、骨組みまでを終わらせて卒業。現在、建築科の新三年生六人が作業を引き継ぎ、完成に向けて外装に精を出している。

 「骨組みにぴったり合うように窓枠がつくれない。自分の技能はまだまだです」と岡野智久君(17)がこぼした。清野圭亮君(17)も「ジレンマを感じます」とぽつり。自己の力と目指す理想のはざまで悩む姿は、競技でゆめ総体を目指す高校生選手たちと変わらない。

建築作業に励む生徒
長崎駅に設置するグラバー邸風の総合案内所の建築作業に励む生徒=長崎市岩屋町、長崎工高
 中学校で陸上の短距離選手だった宮崎君は「ゆめ総体で活躍したかったが、けがもあって駄目でした」と打ち明けた。だが今は、「こういう形で参加できてうれしい。自分の力は建築の方が発揮できる」と信じ、作業に情熱を注ぐ。

 指導している学科主任の山川方宜教諭(59)は「高校生にとってレベルの高い作業です。しかし、案内所は多くの人の心を結び付ける建物。ゆめ総体を成功させようと自覚し、生徒たちはよく頑張っています」と目を細めた。

 この夏、ゆめ総体で本県を訪れる選手と役員、家族らは十一万人と予想される。案内所を訪れる人は、建物にどことなく手作りならではの温かさを感じることだろう。「完成したら、少し離れた所で、たくさんの人が利用する様子をずっと見ていたい」。それが宮崎君たちのささやかな夢だ。




2003年長崎ゆめ総体