「君たちがいるんだから日本一を狙える。やれるはずだ」。瓊浦高入学当初から、新井善文監督が口にしていた言葉だが、岩永生ら当時の1年生たちは「僕たちは県優勝が目標。何で先生はこんなに自信があるんだろう」と、まるで人ごとのようにとらえていた。 そんな気持ちが、時間の経過とともに変化してきた。1年の夏、岩手インターハイで8強入りすると、続く3月の全国高校選抜大会で準優勝。2年夏の岐阜インターハイも、当時からU―23日本代表に選出されていた岩永をはじめ、U―19の小川直宏、志水孝行ら2年生主体チームで準優勝。選手たちに「おれたちが最上級生になったら勝てる」という自信が芽生えると同時に、ハンドボール関係者から「来季は瓊浦が3冠(選抜、インターハイ、国体)」という声も聞こえてきた。 順風満帆だったが、やはり日本一の壁は、簡単に越えさせてはくれなかった。3冠へのスタートとなった選抜。順当に決勝に進んだが、最後は大分国際情報(大分)に1点差で敗れた。油断、慢心があったのか…。チームは実力を発揮できずに終わった。
優勝が決まった後、選手たちは涙で目を潤ませた新井監督を胴上げした。「今、振り返ってみても最高の瞬間だったし、最高のチームだった。小川がゲームをつくる、船木、前田、志水が守る、野口、大山が走る。だから僕が点を取りにいけた。みんなが自分の仕事をきっちりとやった」 高校最後の夏は「一生忘れられない思い出」であり、これから日本代表を目指す岩永に勇気と自信を与えてくれている。 (この企画は運動部・城知哲、副島宏城、福岡一磨、西隆志が担当しました)
いわなが・しょう 長崎市立深堀小4年からハンドボールを始め、瓊浦高では1年から3年連続インターハイ出場。8強、準優勝、優勝という成績を残した。高校2年からU―23日本代表に選出。昨季の全日本学生選手権準優勝、ベスト7。長崎市出身、19歳。
2003年4月28日長崎新聞掲載
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