2003年6月2日長崎新聞掲載
第55回県高校総合体育大会第2日は1日、県内各地で29競技を行い、ゆめ総体の出場校と選手が続々と決まった。 バドミントンの女子団体は、長崎東が25連覇を続けていた長崎女子を破り37年ぶりの優勝。ホッケー男子は佐世保工が7年ぶりに優勝を奪回した。ソフトテニスは女子の諫早商が初優勝。なぎなたは松浦が団体、演技、個人の優勝を独占した。 相撲の諫早農、フェンシング女子の諫早商は8連覇を達成。卓球の鎮西学院は3年連続、空手の瓊浦は4年ぶりでそれぞれ男女同時優勝を果たした。 開催県特別枠の第2代表争いが注目されたソフトボール男子は島原工、バドミントン女子は聖和が勝った。聖和はうれしいインターハイ初出場。 陸上女子円盤投げは林田真那美(口加)が県新V。男子棒高跳びは長濱優次(長崎日大)が大会タイで制した。 水泳の男子は、リレー2種目で大会新を出した佐世保工が25年ぶり4度目、女子総合は長崎商が5年ぶり5度目の総合優勝。百メートルバタフライの仁戸田彩(九州文化)が大会新をマークした。 重量挙げは諫早農が団体6連覇。53キロ級の吉田拓也(西彼農)ら3人が大会新で優勝した。
長崎東は昨年11月の県新人大会で団体優勝。今大会は堂々の第1シードに選ばれていたが、選手たちは西山勝也監督から受けた「うちは挑戦者でやるんだ」という言葉を忘れなかった。 シングルス1、ダブルス1、2の3コート同時進行で始まった決勝も、西山監督が「今大会の殊勲者」とたたえたシングルス1の井手が、積極的に攻め続けて1勝目をマーク。ダブルス1の白山麻・上野こそ長崎女子の粘りに屈したが、ダブルス2の白山愛・牟田が相手の棄権で2勝目。最後はシングルス2のエース白山愛が2―0で快勝。挑戦者の姿勢は“強気の攻め”となってコートに表現された。 試合後、選手たちの間に涙と歓喜の輪が広がった。3年生の中で唯一、決勝の舞台に上がった上野は「東高に来て本当に良かった…」と両手で顔を覆った。西山監督も「僕も生徒を信じた、生徒も僕を信じてついてきてくれた」と感無量の表情を見せた。その28歳の青年監督が、本県バドミントン界に新しい歴史を刻んだ選手たちの腕で高々と宙を舞った。(城)
4メートル20から登場して成功。2位の倉永(諫早農)が3メートル90を失敗して試技を終えたため、この時点で連覇が決まった。4メートル50も1回でクリア。4メートル70の1回目は失敗したが、2度目で成功した。跳べば大会新となる4メートル80は「県選手権で1回跳んでいるから」と飛ばして、日本ジュニア選手権の出場標準記録である4メートル90に果敢に挑戦。1度目の試技でポールを変えたのが災いし、クリアは成らなかった。 「4メートル90だけを狙っていた。ちょっと悔しい」と少しだけ表情を曇らせた長濱。兄の残した県高校記録5メートル00への壁はまだ高いが、「ゆめ総体では5メートル00以上跳んで、最低でも3位には入りたい。(兄の記録を)破りたいですね」と兄を越えることを誓っていた。 女子100で持永が優勝 ゴール後、普段はあまり見せないガッツポーズが飛び出すほどに、優勝の喜びは大きかった。「やっと1番になれたと実感しました」。好勝負が期待された陸上女子百メートルを制した持永梨沙(長崎女子3年)の言葉には、充実感がにじんだ。 女子百メートル決勝は、持永、柴田(長崎南)、阿比留(諫早)、田島(大村)ら好選手ぞろい。持永は緊張もしたが、「自分の走りをすれば大丈夫」と言い聞かせて決勝のスタートラインに立った。得意のスタートから飛び出すと、思い通りの展開で念願のゴールに飛び込んだ。 力まずにレースに臨めたのが勝因。中学時代は柴田に勝てず、いつも県で2番手。「1番になりたい」という気持ちは人一倍強かった。高校に入ってからは、その気持ちが力みにつながり、逆に勝利から遠ざけていた。だが、昨年のインターハイ百メートルで優勝した長島夏子(壱岐高―福島大)から「勝ちたいという気持ちが強過ぎる。自分の走りをすればいいのに」というアドバイスを受けてからその力みもなくなり、力を発揮できるようになった。 県新人大会、県選手権も制したが、県高総体での優勝はひときわうれしい。「3年で1番になろう」と共に歩んできた林田正規監督も、「勝ってくれた」と喜んだ。だが、2人の目標はここでは終わらない。「これで満足したら駄目。北九州予選で勝負して、インターハイへ」―。一つの夢を実現した師弟の目は、先に向けられている。(副島)
鬼気迫る投球だった。佐世保西のエース内野が毎回の10奪三振で完封。諫早から2年ぶりに王座を奪回した。藤原晃監督は「(2試合連続)完封だろ。精神的にタフになったな」と相好を崩した。 ピンチらしいピンチは五回一死三塁だけで、安打はわずか2本。直球は回を追うごとに威力を増し、打者の手元でドロップが鋭く落ちる。諫早の打者のバットは次々と空を切った。「一球ごとに気持ちを込めた結果。ただ、それだけ」。エースとして当然の仕事をやったまでと、表情を緩めることはなかった。 それもそのはず、先月の全九州高校春季大会で屈辱を味わったからだ。準々決勝の熊本工戦。七回まで2点のリードをもらいながら、4四球と突如乱れ、同点に。次の回に決勝打を許した。OBからは「おまえはエースではない」と言われ、ぶざまな敗戦以上に監督やナインの信頼を失ったことが悔しかった。 内野は屈辱を糧にした。連投に耐えられる握力を付けるため30キロのバーベルでリストを鍛え上げ、投球練習では常にピンチの場面を想定して球に気合を込めた。藤原監督は「結果的にはあれがいい薬になったのかな」とエースの努力に賛辞を送った。 だが、内野は「これで終わりではないから」と気持ちを切り替えた。県高総体制覇の喜びに浸る間もなく、夏に向け「最高の球」を追い求める戦いが今始まる。(西)
九州新人大会で本県勢女子初のV。全国選抜に初出場し、着実にレベルアップしてきた。勝利に向かって突き進む意気込みにあふれていた。 決勝は昨年優勝の佐世保商と対戦した。中村・山口は息の合った攻撃で終止優位に立ち、4―0で先勝。続く崎田・前道は安定感のあるプレーで冷静に攻め、4―2で連勝。3ペア目に持ち込むことなく、2―0のスコアで勝負を決めた。 両ペアを中心に各自が県内トップの実力を発揮した。主将の前道は「全員で向かっていく気持ちを大切にした。いい試合ができた。夢の初優勝。自分たちで学校の歴史を築きたかった。うれしい」とさわやかに語った。 全国選抜は納得できないベスト16に終わった。ゆめ総体で再び全国にチャレンジする。錦戸監督は「自分たちのすべてを出し切ってほしい」と伸び伸びとしたプレーに期待。前道は「地元開催。思い切って戦い、悔いが残らないようにする。一つ一つ大切に、選抜以上の結果を出す」。チーム一丸となって完全燃焼の夏の大舞台に挑む。(荒木)
各校のソロ上位2艇の成績で競うデュエット。風が吹いたりやんだりする不安定なコンディションの中、3つのレースがあった。風を読むのに苦しむ他校の艇を横目に海星の2艇はし烈な争いを繰り広げる。 第1レースを出道・山口・中田組が取れば、第2レースは原田・清水組が奪い返す。最終レースもゴール直前まで競り合い、数秒差で出道・山口・中田組が制した。 5人とも小学5年で長崎ジュニアヨットクラブに入部し、切磋琢磨(せっさたくま)してきた。よき友であり、よきライバルでもある。レース中は僚艇との勝負に夢中になり、他校の艇に詰め寄られる場面も。山口副主将は「海に出たら敵も味方もない。最高のレースをするだけ」と言い切る。 同クラブの三嶋由之代表コーチは「熱くなるのが彼らの短所で長所でもある。全国で勝てる技術と集中力はある。あとはプレッシャーに負けない精神力があれば」と悲願達成へ期待を寄せる。 昨年の茨城インターハイは準優勝だった。ゆめ総体の舞台は県高総体と同じ大村湾。「これまでの経験があったから、今の自分たちがいる。九州大会を勝ち抜き、この大村湾に戻ってくる」と原田主将。茨城に置いてきた“忘れ物”を取りに5人の帆は今、大きく張り出された。(堀江)
水泳は男子の佐世保工チームが四百、八百メートルの自由形リレー2種目で大会新を連発し、25年ぶり4度目の団体優勝を引き寄せた。表彰台の中央に立った中村聖宏主将は、誇らしげに表彰状を高々と掲げた。 百メートルの荻原、二百メートルの東房、四百メートルの瀬戸と今大会の優勝者3人に千五百メートル2位の菊田を擁し、「これだけ選手がそろうことは珍しい」(荒木宏和監督)という分厚い布陣。中村主将が「全員が高総体に照準を合わせて調整した」と言う通り、四百、八百メートルの両レースとも第1泳者から他校を大きく引き離しての完勝だった。 四百メートルの3分43秒01はインターハイの参加標準記録を突破。県新のおまけがついた八百メートルの8分12秒10も同記録まであと2秒2に迫った。荒木監督は「九州大会で同記録を突破し、地元の大声援があるゆめ総体の舞台に立たせたい」と思いをはせる。 八百メートルは昨年の九州大会も同じメンバーで臨んだが、標準記録に届かずインターハイ出場を逃し、「ゆめ総体で忘れ物を取りに行こう」と誓った。小学生のころから同じスイミングクラブで育った「幼なじみ軍団」が心の底から笑うのは、ゆめ総体への切符を勝ち取ったときだ。(松尾)
空手団体組手は瓊浦が4年ぶりの男女優勝。共に優勝候補筆頭といわれながらも、Vへの道のりは楽ではなかっただけに、皆良田清文監督は「奇跡に近い」と声を震わせた。 男子は、ゆめ総体出場がかかる団体準決勝を前に、主力の小山が、個人戦で同僚の田中雄と対戦中に右ひざじん帯を痛めて棄権。準決勝は小山抜きで、昨年のVメンバーが残る佐世保北と対戦することになった。 チームの危機に、皆良田監督は「小山に後悔させるな。勝つ以外ないぞ!」と選手にげき。先ぽうの田中雄は「小山の分も勝つ」と気迫の中段げりでリズムをつかみ先勝。流れを引き寄せると、次ほう林、中堅前田も連勝。一気に勝負を決め、決勝の長崎日大戦も3―0で快勝した。 女子は決勝で長崎日大と対戦。次ほう戦を逆転で奪われた後、中堅も落とし、今大会初めて相手にリードを許した。続く副将の町田主将が快勝して嫌な流れを断ち切ると、大将佐藤が接戦を制してV。選手たちは「優勝旗を取り返そうとみんなで必死で練習してきたから」(町田主将)と歓喜の涙に包まれた。 閉会式後、男女の部員全員で校歌を歌った。女子の町田主将は「互いの心が分かる。つらいときも励まし合いながら一つにまとまれるチーム」と胸を張る。男子の林主将は「団結力はどこにも負けない。あとは今以上に一人ひとりが責任を持って日本一を目指す」。力強く誓ったまなざしはもう“ゆめ”を追っていた。(丸田)
卓球団体決勝は、鎮西学院が男女ともに先に王手をかけられたが、驚異的な粘りで勝利の女神がほほ笑み、男子は3連覇、女子は8連覇を達成した。 女子は長崎女子商からギリギリまで追い詰められた。0―2とされた後、「流れを変えたい」と木下・中野組が勝って1―2。中野がシングルスでもストレート勝ちし2―2とし、すべてはコートに残る橋本に託された。 橋本は2セットを奪われてがけっぷちに立ったが、「勝負はこれから。粘れるだけ粘る」と相手の動きを見ながら、必殺サーブも繰り出し、3セットを連取。「これまでの試合の中で一番冷静にプレーできた」と振り返った。 厳しい戦いを想定していたという川崎健監督も「最後は自分もいすから飛び上がり、一緒に戦っていた。勝因を挙げるなら『絶対あきらめない』という強い気持ちが大切ということをこれまでの大会を通じて選手たちが知っていた」と興奮を隠さなかった。 男子は決勝で瓊浦と対戦。野田主将が先勝したが、1―2と逆転を許した。背水の陣の山口と高松はスタンドからの大声援に後押しされ、一球一球に魂を入れたプレーで大接戦を制した。松井伸英監督は「精神力の強さがもたらした神懸かり的な勝ち方」と選手をたたえた。 高松は「これまで励ましてもらったOBらに恩返しするためにも、絶対に勝つと自分に言い聞かせ、押せ押せで攻めた」、野田主将は「瓊浦は予想以上に強くなっていたが、気合で勝った。どこにも負けない練習量が自信となっている。インターハイではベスト8を」と気合を込めた。(中村)
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