2006 知事選



地域を問う 06知事選
< 番外編 >
佐世保支局から  後藤  敦
 松 浦 鉄 道 問 題


 自治体や企業が出資する第三セクター。経営の自立性が求められる時代だけに、三セクへの自治体支援の在り方も課題となっている。このうち、経営難が続く松浦鉄道(MR、本社佐世保市)は懸案だった老朽化設備の更新について、県や沿線自治体が総額二十三億円を支援することで昨年決着した。

 MRへの公的支援の在り方について、知事選の各候補の主張は分かれる。山下満昭候補(53)は「採算困難な路線を切り離し、地元に押し付けたのが間違い」として、政府に負担を要求。これに対し、金子原二郎候補(61)は「必要な施設整備は自治体で支援する。経営は民間で責任を持つ体制を確立する」と官民の役割分担を重視。小久保徳子候補(47)は「(会社の)自助努力と自力再生が最優先課題と踏まえた上で、行政支援を検討する」と、行政の関与には慎重な姿勢を示す。

 昼下がり、一両編成のMR車内は乗客の姿もまばら。乗っていた同市中里町の浦上松枝さん(66)は、市中心部への通院にMRを利用している。「買い物にもMRが欠かせない。でも、学生で込み合う時間以外はがらがらだけど大丈夫なのかねえ」

写真
経営難が続く松浦鉄道。三セクへの自治体支援の在り方が課題となっている=佐世保市内
 佐世保市―佐賀県有田町間の九三・八キロを結ぶMRは、全国三十九の三セク鉄道のうち、年間利用客数は三位を誇る。だが、一九九六年の約四百四十万人をピークに減り続け、昨年は三百五十万人を割り込んだ。さらに、車両二十四台が耐用年数を超え、年間七百件以上の故障が発生。収入の35%が修繕費に消え、経営を圧迫。四期連続の赤字となっている。

 このため、長崎、佐賀両県と十市町でつくる松浦鉄道自治体連絡協議会は昨年八月、「安全な運行」と「経営の自立化」を理由に、約二十三億円の支援計画を承認した。本県は約八億四千万円、佐世保市は約五億一千万円を拠出。過去二回、計約四億二千万円を基金に積み増した経緯から、当初は反対意見も強かった。また、官民の出資比率は四対六でありながら、今回の計画で民の拠出はなく、県北のある町長は「応分に負担すべきだった」と今も不満をぬぐえずにいる。

 県北地域では、西九州道の延伸が進み、今後、マイカー利用が加速するのは必至。路線バスがMRと競合する西肥自動車の関係者は、MR支援について「同じ民間企業への支援にしては手厚すぎないか」と公平性に疑問を投げ掛ける。

 三セク問題に詳しい正司健一神戸大教授(公共交通政策)は「公的支援の範囲や限度を明確化し、バスや道路を含めた地域交通ネットワークの在り方を住民に示すべきだ」と指摘。より長期的で広域な視点による施策を県政に求める。

 MRの公的支援は決まったが、今後も収入増は見込めず、経営再建は容易でない。住民の足の確保という生活に密接な問題に、行政がどうかかわるのか問われている。


2006年1月23日長崎新聞掲載

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