![]()
国営諫早湾干拓事業の完成が、来年夏に迫っている。事業を推進してきた国や県は「完成後」に向けて準備を進めるが、事業見直しを求める漁業者らの反発は根強い。三つどもえで終盤戦に入った知事選でも、事業の「推進」「見直し」で各候補の主張は対立する。 一九八六年の事業計画決定から約二十年。諫早湾奥部を全長約七キロの潮受け堤防で閉め切り、約七百ヘクタールの農地を造成する大型事業は、総事業費二千五百三十三億円のうち、本年度末には事業費ベースで97%まで進ちょくする見込みだ。 「完成が間近に迫った。地元の熱い思いに支えられ、本格的な営農の組み立てが問われる段階に入った」 干拓農地での営農開始に向けた公募基準などを検討するため、先月二十六日に諫早市で開かれた協議会の初会合。学識者や農業団体の代表らを前に、県農林部の中村法道部長はこう語った。 干拓農地について県は昨年九月の県議会で、リース方式を導入して農業者に貸し出す方針を表明。県農業振興公社が県から資金提供を受け、五十数億円で国から全農地を一括購入する考えだ。干拓農地では土壌改良のための牧草栽培、農作物の営農試験が着々と進んでいる。 だが、国や県が「完成後」を視野に取り組みを進める一方、事業への批判は依然として根強い。 福岡県有明海漁連は先月三十一日、漁業不振は諫干事業が原因として、一年以上の開門調査を求め福岡地裁に提訴した。昨年十月には、有明海の漁業者が中・長期開門調査の実施などを求める仮処分を佐賀地裁に申請。また、工事差し止めを求めた本訴訟の原告数は二千五百人に達している。 知事選では、現職の金子原二郎候補(61)が事業推進の立場を強調。「長年の懸案にめどが付いた。干拓農地で環境保全型農業を実践し、二十一世紀の本県農業のモデルに位置づける」と訴える。 一方で新人の小久保徳子候補(47)は「営農開始をストップし、中・長期開門調査を実施する」と主張。同じ新人の山下満昭候補(53)も、開門調査で事業と漁業不振の因果関係は明らかになるとして「事業を全面的に見直す」と踏み込む。 長崎新聞社が実施した知事選アンケートで「新幹線・諫干など大型事業」を最大の争点に挙げた有権者は17%を占め、「経済・雇用対策」に次いで関心は高かった。ただ、完成が近いこともあって、諫干事業は九州新幹線長崎ルートに比べ、各候補の論戦がいまひとつ盛り上がっていない。 2006年2月2日長崎新聞掲載
|