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「この先、生活が大丈夫なのか。不安です」 知事選が告示された十九日午後六時すぎ。選挙カーの喧騒(けんそう)をよそに、土木会社の契約社員の男性(34)は、長崎公共職業安定所ワークプラザ(長崎市築町)で転職先を探していた。 解雇への不安がつきまとい、正社員として採用してくれる会社を探して四カ月。求人を出す会社の面接では「契約社員しか採らない」「年齢が若い方を求めている」と断られてきた。「人件費を削減したいのは分かるが、働く側の身分保障も大事。せっかく自治体が企業誘致しても契約社員ばかりでは駄目」との思いが募る。男性は知事候補に期待し注文も付けた。 「目に見える経済公約を掲げ、求人数増など結果を具体的に約束すべきだ」 国内景気が上向く中、本県経済はなお回復の足取りが重い。一月まとまった最新の県内事業所調査(二〇〇四年)では、北松小値賀町を除く全市町村で事業所数が減少。人口流出も続いており、減少率は秋田県に次いで全国で二番目に高い。高卒者の県内就職率は全国一低く「人材供給県」ともいわれている。 九州や全国の動向に目を移すと、北部九州で自動車産業などの工場進出が脚光を浴び、全国的には「人の誘致」合戦が始まっている。目前に迫った七百万人といわれる団塊の世代の大量退職を見据えての争奪戦だ。 岐阜県飛騨市は過疎化対策の一環として空き家の改修費を最高二百万円まで補助する制度をつくり、北海道は首都圏の退職者をターゲットに移住促進事業を展開。受け入れ態勢の整備や移住ビジネスの創出に、民間とも協力して多様な戦略を打ち出している。 本県浮揚の鍵は何か。経済関係者からは、工場立地の条件が悪く、ハードルが高い企業誘致だけでなく、こうした「人の誘致」にこそ力を注ぐべきだとの声が上がる。長崎の特性に挙げられる「自然環境の良さ」「安くて新鮮な食材」「治安の良さ」「人口十万人当たりの医師数の多さ」「知的好奇心を刺激する歴史や文化」などはそのまま、高齢者らの暮らしやすさに結び付くからだ。 各候補の訴えには苦心の跡がにじむ。新人の山下満昭候補(53)は「外部活力導入論から脱却し、県内の企業や農漁業者を活用していく施策に力を注がないと本県の浮揚はない」と主張。新人の小久保徳子候補(47)は「小規模零細事業、勤労者などの支援を目的に『長崎ファンド』(仮称)を創設。企業誘致などに重点投資する」と掲げる。現職の金子原二郎候補(61)は「八年間で満足してないのは雇用問題。新たな政策を打ち出しており、雇用拡大に最大の力を入れて取り組みたい」と意気込みを表す。 2006年1月27日長崎新聞掲載
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