知事選


■「若さと情熱」届かず 「力不足」橋本さん無念

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「期待に応えられず申し訳ない」と述べる橋本剛さん=21日午後9時53分、長崎市築町の選挙事務所
 閉塞(へいそく)感の漂う古里を憂い、農水官僚の職をなげうって知事選に挑んだ橋本剛さん。政権与党の推薦を受け、若さと行動力で県政刷新を訴えたが、その熱意は届かなかった。

 長崎市中央橋の選挙事務所。「与党が応援していたのに…」。うなだれる支援者に向け、橋本さんは「力不足で、多くの皆さんの期待に応えられず申し訳ない」と深々と頭を下げた。

 民主党県連は昨年夏の衆院選で県内四つの小選挙区で全勝し、国会議員は8人に増えた。その勢いで、知事選に初めて独自候補を立てたが、金子原二郎知事の4選不出馬で、多選批判という対抗軸を失った。その上、脱官僚を党是にしながら官僚を擁立したことに疑問の声が上がり、これが後々まで尾を引いた。

 「地域をどうやって元気にするか」。橋本さんは農水省を志望した時からずっと考えてきた。在京本県出身者の集まりに頻繁に顔を出し、熱っぽく古里を語る姿が、国会議員らの目に留まった。古里が農漁業や観光の潜在力を生かしきれないまま、人口流出や経済縮小で疲弊していくのを見過ごせなかった。

 選挙戦では、自民党が支援した副知事の中村法道さんを金子県政の継承者とみなし、「これまでの延長線上では長崎は変わらない」と訴えた。ただ政策面で明確な違いを打ち出せず、タレント候補の大仁田厚さんにも浮動票を奪われる形となった。

 民主党は100人を超える国会議員を応援に送り込んだ。予算を握る大臣や党幹部が、国と県のつながりを強調する一方、自民党寄りの業界団体の切り崩しを図った。だが「政治とカネ」の問題が取りざたされ、政権交代時の追い風はとうにやんでいた。

 当初は幅広い支持を集めようと、党や労組色を薄める作戦だったが、組織づくりが間に合わず、結局は従来の枠組みに頼らざるを得なかった。その民主党さえ地方議員は少なく、運動は頭打ち。ある民主党県議は「まだ声をかけていない人がたくさんいる」と天をあおぎ、労組幹部は「民主党は自分たちの支持者なら『橋本』と書いてくれると勘違いしている」とぼやいた。

 連合長崎も県職員組合が自主投票になり、足並みが乱れた。終盤追い込んだが、知名度のない橋本さんを浸透させるには、あまりにも時間が足りなかった。

 「新知事が県民のために改革を実現されるよう期待する」。橋本さんは自分の思いを託すように語った。


2010年2月22日長崎新聞掲載