県庁3階にある応接室には微妙な緊張感が漂っていた。9月2日午後に開かれた衆院選小選挙区の当選証書付与式。民主、社民両党でつくる改革21の県議8人が見守る中、知事の金子原二郎(65)は、長崎2区で初当選した民主党の福田衣里子(28)ら小選挙区で自民党候補を破った4人と握手した。笑顔の福田に対し金子は口を横一文字にして表情をこわばらせたまま。金子が立ち去った部屋で記者に囲まれた福田は「知事から『これからも頑張ってください。期待しています』と言われました」と笑顔を振りまいた。 民主党の圧勝から約10日。県内政界の話題は早くも来年2月に予定される県知事選に移った。焦点は金子が4選を目指し立候補するのか、政権を取った民主党が誰を擁立するのか−の2点に絞られている。 元自民党衆院議員の金子は福田に敗れた久間章生(68)ら自民党候補4人を応援した。結果的に全敗したが3区と4区の候補は復活当選。自民党の国会議員2人が残ったことで県内の政界には「知事は出馬する」との見方が広がる。自民党本部は県知事の4選を推薦しない方針だが、県連幹事長の田中愛国は「県連レベルでは推薦できる。必ず手を挙げてもらえる」と言い切る。だが正式な出馬表明をしない金子について、ある自民党県議は「相手候補が誰になるか情勢を見ている」と分析。別の県議は「知事選にだけは負けるわけにはいかない。一部に『金子で勝てるのか』という声もあるが他に有力な候補もいない」と漏らす。
知事選で名前の挙がっている関係者の動きも本格化している。立候補の意向を示す前ルーマニア大使の東良信(61)は衆院選後、参院議院運営委員長の西岡武夫ら民主党国会議員らにあいさつして回った。同じく出馬に意欲を示す党県議の高比良元(57)も10月までには党県連に推薦願を提出する見込み。このほか名前が取りざたされている日本医師会常任理事の今村正臣(61)も西岡を訪問。今村は「知事選の話はしなかった」とするが、さまざまな憶測を呼んでおり、民主党の選択が注目されている。 金子は10日に開かれた県議会一般質問で4選出馬について尋ねられ「大いに意欲はある」と前向きな姿勢を示した。東は11日に長崎市内のホテルで出馬会見する。衆院選で激変した県内政界地図がどのように知事選に影響するのか。各陣営の動きはさまざまな思惑を秘めながら、一気に加速している。(敬称略)(衆院選取材班)
2009年9月11日長崎新聞掲載
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