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続く地域での手探り
「まず、おわびを申し上げなければならない」−。参院選投開票日の11日午後10時すぎ。当選を確実にした金子原二郎(66)が佐世保市栄町の事務所に到着すると、市長の朝長則男は祝辞をこう切り出した。「非常に微妙な立場で、なかなか表に出れなかったが、当選を大変うれしく思う」。金子の顔からは、こころなしか笑みが薄らいでいた。
微妙な立場−。自民県議から2007年、市長に転身した朝長。昨夏の衆院選長崎4区で、自民の北村誠吾を全面支援し、宮島大典を擁して勝利した民主の非難を浴びた。すると、同様に二大政党対決となった2月の知事選、今回の参院選では表立って動かなかった。「中立」を保つ理由を朝長はこう説明する。「政権与党への要望活動もある」
市長選に向けた思惑も見え隠れする。朝長は2期目について「後援会や団体と相談したい」と明言を避けるが、目立った失策はなく、出馬が確実視されている。民主との関係修復にも余念がなく、保守系市議の一人は「市長選を前に対立したくはないはず」とその心中を推し量る。
来年春の統一地方選。県内では長崎、佐世保両市長選をはじめ、2町長選、8市町議選、そして県議選がある。
佐世保市議だった中嶋徳彦は自民を離党、みんなの党から参院選に挑み敗れたが、統一選の対応は「白紙」という。参院選出馬に意欲を見せながら「断念」した県議の浅田眞澄美は、県議再選を目指す。これらの動きを自民県議らは冷ややかに見ていた。「統一選向けの“宣伝”だというのが見え見えだよ」

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金子原二郎氏(中央)を前に当選祝いのあいさつをする朝長則男佐世保市長(右)=11日午後10時20分、同市栄町の選挙事務所
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その自民県議団は二つの勢力に分かれ、主導権争いを続けている。一つは金子と縁せき関係にある衆院議員、谷川弥一に近いグループ。金子が参院議員に転じたのを受け、これと距離を置くグループは警戒感を隠さない。「谷川・金子連合で候補者を立てるなら、こちらも考える。要はどちらが議席を増やせるかだ」。神経戦が既に始まっている。
対する民主は元気がない。知事選、参院選で手ひどく連敗を喫し、県連代表の高木義明は「もう一度、党の足腰を一から見直し、すそ野を広げる努力が必要だ」と自戒する。だが青年や女性を含め、労組に依存しない人材を空白区に擁立する作業は何ひとつ具体化していない。
統一選に先立ち今秋実施される大村市長選には3人が立候補を予定している。通算5期目を目指す現職の松本崇は、6月3日の出馬会見で「参院選は中立」と述べたが、公示が近づくと一転、「金子支持」を鮮明にした。「今の民主党でいいのか。私は立場があっても、金子前知事を推薦する」
一方、市議の里脇清隆は既に自民を離党。「参院選に構う暇はない」と金子の集会に姿を見せなかった。社会福祉法人理事の北村貴寿も組織に頼らない「草の根」を強調する。
「金子圧勝」「民主大敗」が県内の政局にどんな波紋を広げるのか−。それぞれの地域で手探りが続く。
(文中敬称略)
=参院選取材班=
2010年7月15日長崎新聞掲載
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