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県民の役割
  価値理解し機運醸成を


 「ちょうちん行列には予想を超える三千人が参加し、市民の関心の高まりを実感した」

 本県の「長崎の教会群とキリスト教関連遺産」とともに二十三日、世界遺産の国内候補入りが決まった「富岡製糸場と絹産業遺産群」の地元、群馬県富岡市。祝賀行列が市内を練り歩き、花火も上がったという同日の様子を、同市富岡製糸場課の担当者は明るい声で話してくれた。

 同市は二〇〇五年から専門の担当部署を設け、世界遺産登録に向けたPRや住民啓発活動を展開。県や市民団体とも連携し、官民での運動が結実した形となった。

 一方の本県。同日は関係自治体の首長らの喜びの声が相次いだが、住民による目立った祝賀の動きはなかった。

 識者や宗教者らで〇一年に結成された「長崎の教会群を世界遺産にする会」会員で、候補入りに向け県などが国に提出した提案書の検討委の座長を務めた脇田安大・ながさき地域政策研究所理事長は「長崎の運動がほかと違うのは、行政が基本的に関与してこなかったこと」と、双方の違いを説明する。

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高台から望む「黒島天主堂」。世界遺産の登録には県民の理解と協力が必要だ=佐世保市黒島町
 「当初は自治体も価値を十分理解できず、政教分離の問題もあった」(−世界遺産にする会)ことから、同会が中心となって進めてきた本県の世界遺産登録運動。それでも並み居るライバルを押しのけ候補入りした事実は、教会群の高い価値とともに同会の努力を裏付ける。半面、民間主導で資金やPR力に限界があり、県民運動の盛り上げまで手が回らなかった感は否めない。

 脇田理事長は「教会修復のための資金集めなども見据え、『市民の会』づくりなど広く県民に応援団になってもらう工夫が必要」と今後の課題を指摘する。

 教会群への注目度が一気に高まる中、県民の理解不足による弊害を不安視する声もある。教会群の特徴であるキリシタン史を背景とした“精神性”は、教会と周辺の自然、集落の景観が一体となった「歴史的雰囲気」が醸し出す。教会のそばに無粋な観光施設や駐車場ができたり、ごみを散らすなど心ない行為があればどうなるか…。

 「−世界遺産にする会」の柿森和年事務局長(長崎市職員)は「『観光、地域振興ありき』では駄目。住民、信者、行政が教会群の目指すべき姿を正しく理解し、価値観を共有しながら大切に守っていかなければならない」と訴える。

 世界遺産登録を目指す道のりはこれからが正念場。それだけに「提案者としての責任」を今後、県民全体で果たしていくことが求められそうだ。(報道部・河野隆之、高比良由紀、山口恭祐が担当しました)


2007年1月28日長崎新聞掲載


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