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解説/厳格な保存管理計画を

 「長崎の教会群とキリスト教関連遺産」(県と五市二町の共同提案)について、文化庁がユネスコの「世界遺産暫定リスト」の追加候補に決めた背景には、禁教・迫害・潜伏を経て復活を遂げた本県独特のキリスト教文化の精神性の高さが「世界史的価値」として評価されたことがある。

 世界遺産は現在、各国で計八百三十件あるが、その構成は教会建築などに偏重しており、「カテゴリーの不均衡」が指摘されている。今回、全国的な前評判でも「教会を中心にした長崎の提案は難しい」が大勢だったが、その逆風をはね返したのが「精神性」という発想で、同庁も「未だ見られない分野」と特記した。

 これには、立案段階での戦略が奏功した。国への提案書をまとめるため県教委が設置した専門家委員会(十一人)には、県内の有識者に加え、世界遺産の実務面に精通した元文化庁幹部を複数採用。専門委全体で、学術的検証と、国、世界が求める期待値とは何か−を効果的に探ってきた。さらに、県側は水面下で国内でも有力な専門家に接触を続け、内容を練り上げた。

 ただ、「暫定リスト入りで安寧ではない」(唐沢裕之・県教委学芸文化課長)というのも現実だ。本県の地理的特性から、特に梅雨期の大雨や台風被害で、対象遺産が損傷するリスクもある。マナー面で観光効果が裏目に出た場合、信仰の場が荒らされることも考えられる。より厳格な保存管理計画と活用法の策定こそが、世界遺産の本登録に向けた次の一手を決めるだろう。

 本県の歴史文化が評価されたことを喜び、受け止めた上で、今後は世界遺産の提案者として、さまざまな課題をクリアしていく責任がある。

2007年1月24日長崎新聞掲載

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