
佐世保市の大型リゾート施設、ハウステンボス(HTB、澤田秀雄社長)が、4月に続く第2弾のリニューアルを完了させ、17日、新たな魅力に包まれた観光拠点として再始動した。
昨年、経営危機に陥ったHTBが、今年2月、旅行業大手エイチ・アイ・エス(HIS、澤田会長、本社東京)の支援で経営再建を図ることになり、施設や運営の全面見直しを経て、いよいよ新事業戦略の本格展開にこぎつけた。新生HTBの幕開けである。
2度のリニューアルで、HTBは、よりサービス精神にあふれた施設へと進化した。新生HTBがその魅力を存分に発揮して観光客を引きつけ、再建を軌道に乗せるよう期待したい。
九州経済連合会の松尾新吾会長が言うように、HTBは「九州の宝」である。特に地域経済の低迷が続き、その打開に向けて観光業に大きな期待がかかる本県にとって、HTB復活の成否は、極めて重大な影響をもたらす問題だ。「九州の宝」の再生への取り組みが成功するよう、地域ぐるみで応援していきたい。
今回の再建問題では、県のマリーナ公有化、佐世保市のHTB固定資産税相当額約9億円の交付金支出決定など、異例の公的支援が行われている。それだけにHTBの責任は大きい。必ず再建を達成してほしい。
澤田社長は3月に策定した新事業計画に基づき、早速、無料ゾーンの新設や各種料金値下げを実行するとともに、家族連れや若者に配慮した施設のリニューアルやイベント開催計画の立案を進めてきた。
それまでのHTBは、「入場料が高い」「家族連れや若者が楽しめるイベントが乏しい」などの不満に対して有効な対策を講じることができずに、入場者減を招いた。それに比べれば、澤田社長の対応は実に迅速で、評価できる。今後も、入場者本位の対策を先手、先手で実行してほしい。
国内からの集客強化とともに、再建の鍵を握るもう一つの課題が、アジアからの観光客、特に中国人観光客の誘致拡大だ。韓国、台湾、中国などアジアからのHTB入場客はこれまで年間20万〜30万人だが、新事業計画では3年後には100万人に増やす方針だ。澤田社長は、アウトレットや医療観光などを取り入れて、HTBを「東洋一の観光ビジネス都市」に育てると意気込む。HTBの壮大なアジア戦略成功を期待する。
政府は「観光立国」を新成長戦略の一つに据え、今月から中国人観光客のビザ発給要件緩和に踏み切った。国を挙げての中国人観光客誘致の波に乗り、HTB再建につなげたい。ただ、中国の人々の九州への関心は低く、HTBの知名度も低いという。中国での宣伝強化と、中国と本県を結ぶアクセスの拡充が大きな課題となってきた。それはHTBだけでなく、本県観光全体にとっても急いで実現すべき課題だ。この機に、本県で官民一体のアジア戦略をスタートさせる必要もあるだろう。(高橋信雄)
(2010年7月19日長崎新聞掲載)
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